第6回目の講師は、つい数日前にケニアでのバラ農園視察ツアーを終え帰国されたばかりの「アフリカの花屋」を創業した萩生田愛さん。萩生田さんは2012年にケニアのバラを直輸入し販売する「アフリカの花屋」を立ち上げました。広尾にある店舗には、アフリカの美しいバラを求めて連日多くのお客様で賑わっています。萩生田さんがなぜケニアのバラを日本で販売するようになったのか、ライフストーリーをお伺いしました。

 幼少期の萩生田さんは人前で話すことも人と話すことも苦手で内気な性格だったそうです。しかし小学4年生の時、転校をしたことを機に自分から積極的に話しかけることで友達を増やすことができ、その時の経験が今の萩生田さんの〝新しい環境で、一歩踏み出す″精神が作られたとのこと。
アメリカの大学に進学した萩生田さんは、実際の国連の会議と同じように議論や交渉を行う模擬国連に参加した際、1日1ドル以下で生活している人が世界中に日本の人口と同じくらいいるという貧困問題を知りました。「そういう現状を自分の目で見て、知るために一度日本に帰って、一人前になってから自分の力でアフリカに行きたい」という想いが芽生えたそうです。

 大学卒業後、帰国した萩生田さんは「命に貢献したい」という想いで製薬会社に就職。入社7年目、萩生田さんの働く製薬会社がWHOと連携し、途上国に薬を無償提供するプロジェクトをはじめたことをきっかけに、自身が以前抱いた「アフリカの貧困問題を自分の目で見たい」という想いを思い出し、製薬会社を退社することを決意しました。上司からは、2週間休みをとってボランティアでいけばいいと止められたそうですが、萩生田さんは「生半可な気持ちではダメだ」と思い、退社。その後NGOに参加した萩生田さんはボランティアとしてケニアにいきました。
学校の教室を作るプロジェクトに参加した萩生田さんはそこでとてもショックを受けます。
現地の村の村長が萩生田さんに「How can I help you?」と言ってきました。「どうして支援される側のひとが〝お手伝いしましょうか″なんて言ってくるのだろう?」実は現地では、国際NGOが来ては去り、来ては去りの繰り返しでそのNGOのやり方に合ったことをすれば沢山の援助を受けられる、ということでした。援助に依存しきっている現状を目の当たりにした萩生田さんは「上から行う援助ではダメだ、対等な立場に立ったビジネスをする必要がある。」と考え、それが「雇用を生む」ということでした。どんなビジネスで雇用を生むか考えていた時に出会ったのがバラでした。

 ケニアのバラには3つの強みがあります。1つ目は「強い生命力」誰も水を換えていないバケツの中で2週間も咲き続けていたそうです。2つ目は「元気な存在感」日本のバラに比べ倍近く大きく、色はとても鮮やか。そして3つ目に「鮮やかな模様」日本のバラでは見たこともない珍しい模様をしています。赤道直下で太陽の光をたっぷり浴び、標高が高く寒暖の差が激しいケニアはバラの栽培に最適な環境だそうです。
帰国した萩生田さんはケニアのバラを産地直送で届けるオンラインストア「アフリカの花屋」を開設しました。当初は店舗を持たず、インターネットのみでの販売を行っていましたが、「すぐにバラが欲しい」「実物を見てから買いたい」という声を受け、クラウドファンディングで資金を集め広尾にオープンさせました。萩生田さんは「花がキレイと感じると共に、どんな人が作ったのか一緒に感じてほしい」と言います。日本人が忘れかけている、お金では買えない豊かさを、ケニアのバラを通じてお客様に届けています。アフリカの花屋の取り組みに賛同し、アルファロメオ、レクサス、有名アパレル会社らがノベルティとしてアフリカの花屋のバラを使用しています。

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 アフリカの花屋でフラワーアレンジメントスクールを中心に活動されているHide Tanakaさんと受講生の皆さんと男女混合でグループを分けディスカッションを行いました。男性は〝どうやったら女性に花を喜んで受け取ってもらえるか″女性は〝どういう反応をしたら男性がまた花をプレゼントしたいと思うか″花をもらったエピソードや花を贈ったエピソードで各グループとても盛り上がっていました。ディスカッションの中で気付いたのは、花を贈ったり貰ったりするのは特別な日である必要がないということでした。特別な日でなくても貰ったほうは当然嬉しいですし、贈ったほうも相手の喜ぶ姿を見ることでお金では買えない価値を得ることができます。このようにアフリカの花屋ではディスカッションをしながら花を日常的に使ってもらい、花を贈る文化を育てています。

 最後に萩生田さんの使命をお聞きしました。
 「花を、愛でる文化、飾る文化、贈る文化がもっと広まってくれたらいいなと思います。ただ、それと同時に、作り手のことも想ってほしいです。生産者に光を当て、売るほうも買うほうもハッピーに。そのバラを通じて多くの人に喜んでもらい、ケニアでの雇用を増やすことが私の使命だと感じています。」

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