皆さま、こんにちは桑原です。
一難去ってまた一難、二回続けての台風大変でしたね。みなさま無事に過ごしていますでしょうか。

そしてハッピーハロウィン!私が記事を書いている本日10月30日は快晴の青空!風こそ強いものの久しぶりに天気の良い日を楽しむことができそうです!

さて、第四回の講座ではパタゴニアの日本支社長を務める辻井隆行さんと、 同社の社会部門ディレクターを務める佐藤潤一さんにお越しいただき「パタゴニアが考える企業の責任とは」についてお話しいただきました。

まずは辻井さんのお話を振り返りましょう。
辻井さんがパタゴニアに入社することになったのは30代前半のこと、パートタイムスタッフとして入社したことが始まりでした。大学院の頃にアウトドアスポーツに出会い、バンクーバー島をカヌーで一周するという偉業を成し遂げますが、入社後もその情熱はやむことなく、ある時はグリーンランドへ1ヶ月半シーカヤックの旅へ、またある時はパタゴニアのフィッツロイ山を登ったこともありました。
そうして多くの自然に触れていくうちに、人間は自然の前ではちっぽけな存在だと感じるようになっていったそうです。

そんな時、バンクーバーに住む妊婦の母乳から水銀が検出されたことを知ります。どうやら大企業の生産活動で生じる有害物質が辺境の地で生活する人々にまで健康被害を及ぼしていたようで、これに強い衝撃を受けたそうです。

パタゴニアではこうした問題に対し、企業としての単なる責任ではなく、アクティビスト企業として解決に向けた取り組みを行っています。それはパタゴニアのミッションである「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」にも表れています。

辻井さんはそんなパタゴニアの3つのこだわりを紹介していただきました。

一つ目は環境に良いもので最高の製品を作ることです。
いくら環境に優しい製品を作っても誰にも買われなければ意味がありません。パタゴニアは44年間、本質的な価値観を忠実に守りつづけながら、最高の製品を作ることで、他の企業をリードしています。

二つ目はコットンについて自ら学ぶことです。
パタゴニアがファッション業界に参入して間も無く、ボストンに販売店を構えたことがありました。しかし出店して間も無く、洋服を販売していた人々から続々と体調不良を訴えられたのです。これについて調べてみると、驚くことに環境に優しいと思われていた洋服からホルムアルデヒドが検出されました。これに次いでコットン農家を視察してみたところ枯葉剤と呼ばれる毒性の強い薬品が散布されていたことが明らかになりました。この枯葉剤はベトナム戦争の際に兵器として使われたものとまったく同じ成分で作られていたことも明らかになりました。

これをきっかけにパタゴニアではオーガニックコットンへの移行が始められるようになります。創設者のイヴォン・シュイナードさんはこれに対し「この事実を承知の上で、今後も農薬まみれのコットンを使ってウェアを作り続けたなら、どちらにせよ私たちは壊滅する。よし、やろう。オーガニックでいこう」と宣言しています。現在パタゴニアの洋服は100%オーガニックコットンで作られています。

三つ目は製造する洋服やウエアがどこから来たか透明性を確保することです。
2013年4月にバングラデシュの首都ダッカにある縫製工場が崩壊する事故が起こり、約1100人もの方が亡くなったことがありました。この工場は私たちのよく知るファストファッションブランドの多くから発注を受けていたようで、「早く、安く受注を完了する」ことを迫られ、労働環境や建造物のメンテナンスが疎かにされていたようです。私たちが洋服を消耗品のように扱い、安さを追求することで、どこかの誰かを傷つけることに繋がってしまうことがあります。
これに対し、パタゴニアでは 2014年 からフェアトレードで製品を作り始め、労働環境や生産者の人権を守りながら生産を行なっています。現在はインドのプラティーバという団体から原料を調達しているそうです。

次にワークショップが行われ、環境問題の解決についてアパレルビジネス・自然保護・食品・脱炭素社会がもたらす気候や生物多様性への影響について話し合いました。みなさん土壌汚染や輸送にかかる環境コスト、農薬問題など様々なテーマで白熱した議論をしていただきました。

ここで辻井さんのお話が終わり、佐藤潤一さんにお話が引き継がれました。
佐藤さんは昨年パタゴニアに入社されましたが、それまでは環境団体グリーンピースの事務局長として、環境問題や生物多様性の回復に取り組んできました。
国内の非営利セクターが弱まる中で転職を考えていた頃、パタゴニアの「ビジネスを手段として解決に向けて実行する」というミッションに賛同し、入社を決意したそうです。

佐藤さんからはワークショップで使用したロードマップについてパタゴニアの活動事例を紹介しながら解説していただきました。

まずはアパレルビジネスがもたらす影響に対して、洋服を長く大事に使ってもらえるようにパタゴニアでは洋服修理サービスを展開しています。持続的な調達にも力を入れておりフェアトレード調達や環境配慮型製品の販売にも取り組んでいます。

アメリカでは感謝祭の翌日に大規模な安売りが実施されるブラックフライデーという文化がありますが、パタゴニアがこの時期に合わせて打ち出した広告には”Don’t buy this Jucket (このジャケットを買わないで)”の文字が。大量消費が煽られるなかで消費者にとって本当にそれが必要なものであるかもう一度考えてから選んでほしいというメッセージがありました。

自然保護にも力を入れており、上関の生物多様性が豊かな「奇跡の海」を守る活動や里山の暮らしを守る活動。長崎県川棚町のダム建設予定地に暮らす人々の様子を描いた映画「ほたるの川の守り人」の作成、環境再生型農業や漁業の実践など様々な環境保全活動に取り組んでいます。

食品市場に関しても有機農業の支援や環境再生型農業の普及・啓発に取り組んでいます。あまり知られていませんがパタゴニアでは食品や飲料も販売されており、中でも土壌環境に配慮したビール、ロングルートエールは特に人気のある商品です。
パタゴニアではこうした製品市場の拡大を目指すことで他企業にもポジティブな影響をもたらすことを目指しています。

パタゴニアは企業規模こそ小さいものの、問題解決型のスモールビッグカンパニーとして日本企業に良い影響を与える役割が期待されています。

さて、次回の講座ではNGO法人ヒューマンライツ・ナウの事務局長である伊藤和子さんにお越し頂き、「モノを作る人たちの人権とエシカル」についてお話いただく予定になっています。

日本初の国際人権NGOであるヒューマンライツ・ナウは国際的に確立された人権基準に基づき、紛争や人権侵害のない公正な世界をめざし、日本から国境を越えて人権侵害をなくすために活動しています。(HPから参照: http://hrn.or.jp/)
当団体の事務局長である伊藤さんは弁護士としてもご活躍されており、人権に関して幅広いお話が聞けるのではないでしょうか。少しアカデミックなテーマですが、今後エシカルコンシェルジュとしてご活躍なさる皆さまの説得力を向上させることができるのではないでしょうか!

次回も定員ございますので、ご予約はお早めに!

私も今から楽しみです!
では!

11月7日(火) 「モノを作る人たちの人権とエシカル」
伊藤和子さん(弁護士、NGO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

【開催場所】
オーセンティックワークス セミナールームABC
東京都新宿区四谷2-11 アシストビル5階
・東京メトロ 四谷三丁目駅より徒歩5分
・JR、東京メトロ 四谷駅より徒歩7分