皆さま、こんにちは桑原です。
最近はポカポカ陽気が続き、秋らしい天気を楽しむことができるようになりました。北風に揺られ少しずつ葉が散り始めていますが、まだまだ紅葉を楽しむことができそうです。

さて、第五回の講座ではNGO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局長で弁護士も務められる伊藤和子さんにお越し頂き、「モノを作る人たちの人権とエシカル」についてお話いただきました。

ヒューマンライツ・ナウは日本を拠点とする、日本で初めての国際NGOです。世界で今も続く深刻な人権侵害をなくすため、法律家、研究家、ジャーナリスト、市民など、人権分野のプロフェッショナルたちが中心となり、2006年に発足しました。ヒューマンライツ・ナウは国際的に確立された人権基準に基づき、紛争や人権侵害のない公正な世界を目指し、日本から国境を越えて人権侵害をなくすために活動しています。

企業活動が社会・環境に大きな影響を与えていることはこれまでの講座でも見てきた通りですが、そこで働く労働者の人権はきちんと守られているのでしょうか。

人権侵害は、両者の間に力関係があり、弱い立場の人が声を上げづらい環境で起こることが多いです。例えば、日本のブラック企業でも人権が侵害されていることがありますが、今日ではそれが常態化してしまっているため、もはや侵害されていることにすら気づかない人も多いようです。また、それに気づいたとしても解決方法がわからずに助けを求められずにいる人も少なくありません。

下請け企業の労働環境等に対する責任は各自で完結されるべき問題とされており、ここにも力関係が垣間見ることができますが、2011年にこれが見直され、企業は可能な限り製品に関わるすべての労働者への負の影響を防止、軽減に努める必要があると国連の指導原則(通称: ラギー原則)に決まりました。

バングラデシュの縫製工場ラナプラザで製造されていた洋服のほとんどが欧米の有名ブランドの製品だった話は有名ですが、私たちがよく知るブランドもここで数多く作られていました。ここでは14歳の女の子が「見習い」として半額の給料で働いていたり(バングラデシュの法律では児童労働)、給料が4000円/月だったりしたそうです(事故後、7000円に賃上げされた)。その上、勤務中は工場外から施錠され、外出する自由を奪われながら朝から晩まで働かされていたそうです。

事故後は発注元の企業から労働者へ賠償金の支払いと、最低賃金を引き上げる措置が取られましたが、未だに先進国の価格競争に巻き込まれ、犠牲になる労働者は少なくないそうです。これに対し非営利セクターでは工場の労働環境について根本的なルール作理をする重要性を訴え、ETI(Ethical Trading Initiative)が9つの基本規則を定めました。現在はH&Mやマークスアンドスペンサーなどの大手メーカーがETIのメンバーに加入しており、他にも多くの企業が賛同しています。

ヒューマンライツ・ナウでも同じような事故を防止するために日本のファッション業界を調査することにしました。その結果、ユニクロでよく知られるファストリテーリングの中国の工場で劣悪な労働がされていることを明らかになりました。
高温になった工場内で中国人労働者が上半身裸で働いていたこと、水浸しの工場内での漏電により労働者が感電死してしまったりしたことなどが明らかなりました。他にも労働法規に違反する長時間労働、生活賃金の無保証、化学物質、違法な罰金制度など様々な問題が浮き彫りになりました。

これら人権上の問題についてヤフーニュースで調査報告書を公表した結果、300万件の反響があり、これをきっかけにユニクロは解決に向けてアクションプランを作り、生産者の労働環境を改善するために動き出すようになり、7カ国146拠点の主要取引工場を公開しました。

カンボジアでも同じような問題があり、H&Mやウォルマートがここに発注をしていました。違法残業、サービス残業、生活賃金の無保証、労働組合関係者の不当解雇、それによるプレッシャーなど多くの人権侵害が調査によって浮き彫りになりました。最低賃金の引き上げを求めてデモを行った労働者がいましたが、治安部隊に殺害されてしまった人もいるそうです。別のところでは労働組合を結成した段階で、解雇処分されてしまう人もいました。これが事実であれば結社の自由の侵害にあたるのだと伊藤さんは言います。
それでもそうしたストライキの効果はあり、現在カンボジアの服と靴の産業の最低賃金が月額100ドルから128ドルに賃上げしました。

こうした奴隷のような待遇は遠い外国だけの話ではなく、驚くことに日本でも行われているのだそうです。日本には外国人技能実習制度という諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう仕組みがありますが(外国人研修制度)、これに参加するためには高額な手数料や保証金の支払いが必要な上に、労働者が契約書を保持することが認められていません。異議申し立てがある場合は強制帰国を言い渡される場合もあり、その際に保証金は返してもらえないこともあります。他にも労災隠しやサービス残業、長時間労働、最低賃金違反の賃金、パスポート取り上げ、強制貯蓄、違約金の定めなどがあります。最近になり外国人技能実習法が制定され、実習生の保護が一部されるようになりましたが、それも昨年末のことでつい最近まで日本でも人権侵害が起こっていたことを考えると驚きを隠せません。

これを考えると問題は私たちの身の回りにあることが考えられます。
サービス残業や長時間労働、ブラック企業やハラスメントなどなど、日本でもよく聞きますよね。多くの人が基本的人権を侵され、追い詰められて自殺・過労死してしまう人も多くいます。

そのような問題に関わらないために私たちが一番身近にできるアクションが消費活動だと伊藤さんは言います。人権を侵害する企業からは物を買わないことが意思表示となり、めぐりめぐって自分自身を守ることにもつながります。地球に優しい未来を造る選択権は、私たち一人ひとりにあります。

さて、第6回目の講座はNPO法人アニマルライツセンターの代表理事である岡田千尋さんにお越しいただき、「エシカル消費と動物への配慮」についてお話いただきました。

人権が守られなければならないように、動物にも生きる権利があります。アニマルライツセンターはこれまで動物実験、非倫理的な殺害、虐待、遺棄を無くすために、行動ネットワークを作りに努め、多くの動物を守ってきました。そんな動物を守るために、私たち消費者はどのようなアクションを起こすことができるのでしょうか。

こちらの報告はまた追って投稿いたします!