こんにちは、エシカル協会でメディアコミュニケーターをしている桑原です。
先日は第一回、エシカルコンシェルジュ講座にご参加いただきありがとうございました。クッキー合わせのアイスブレイクから始まった今回の講座も皆さまのおかげで良いスタートをきることができました。本当に感謝しています!
こちらでは受講生の皆様が各講座をご自宅でも振り返ることができるように、講座レポートというかたちで紹介しております。なるべく噛み砕いて理解しやすいように書いていこうと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

さて、第一回目の講座は当協会の代表で、講座のナビゲーターを務める末吉里花さんからエシカルの基礎についてお話いただきました。

まずは今回の講座のテーマで、今後の講座を理解するための要となるエシカルという言葉ですが、英語では「Ethical」と書いて「倫理的な」という意味があります。もともとは法的な縛りがなくとも多くの人が正しいと思っていることや、本来人間が持つ良心から発生した社会的な規範のことを指していますが、エシカル協会ではこれを人、社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動のことと定義しています。

エシカル協会の代表理事である末吉里花さんは、TBS系「世界ふしぎ発見!」というテレビ番組でミステリーハンターを務めた経験の持ち主で、様々な秘境を巡るなかで、一部の利益のために美しい自然が犠牲になっていることに問題意識を抱えるようになりました。

元々は欲しいものは買うというエシカルとは正反対の生活をしてきた末吉さんですが、番組で訪れた秘境をきっかけに自分の生活スタイルを見直すようになりました。そのきっかけとなったのは、マンモスの牙を発掘しにシベリアに行ったときのこと。真冬にはマイナス80℃を記録する永久凍土の土地で自然と調和しながら暮らしているヤクート族の住む場所が温暖化により失われつつありました。先進国の多くの私たちが環境汚染をしながらテクノロジーの恩恵を享受している裏側には、自然と調和しながら慎ましく暮らす人々の生活が先ず犠牲になっていたのです。

また、標高約6000メートルのキリマンジャロに登頂した際には、氷河が予測されていたよりも早いスピードて溶けており、危機感を覚えると共に強いショックを受けたこともありました。

ミステリーハンターの仕事を終えると、次にサフィア・ミニーさんというイギリス人女性に出会います。「ファッションで世界を変える」をスローガンに掲げ、日本にピープルツリー(フェアトレードファッションブランド)を立ち上げた人物です。末吉さんは「自分の好きなことで世界を変えられるなんて、なんて素晴らしいことだろうと」これに賛同し、フェアトレードの世界にのめり込むようになりました。

現在は自身で一般社団法人エシカル協会を立ち上げ、エシカルフェスタやエシカルファッションショーの主催。教育機関、百貨店、企業、自治体などでの出前授業やエシカル講座ではナビゲーターを務め、消費者教育を軸に幅広い活動をしています。

さて、エシカルの話に戻りますが、みなさんがこれまでに買ったもので、一番お気に入りのものはなんでしょうか。講座会場からは時計やネックレスとお答えしていただきましたが、それらはきっと素敵なストーリーや意味があり、単なる「物」以上に特別なものにするのでしょう。ものを買うときの決め手は「安心」や「安全」、「品質」、「価格」という人が多いですが、ここに上述した「エシカル」というものさしを付け加えましょう。

私たちは普段から色々なものを消費して生活していますが、それがどこで誰によってどのように作られているか考えることはほとんどありません。口にする食品から着ている洋服、持っているスマートフォンまでもそれぞれに作り手が存在し、それらの背景には気候変動や人権侵害、児童労働などの社会問題が隠れていることも少なくありません。それらは貧困問題や生物多様性の損失に結びつき、私たちの生活にまで影響を及ぼします。

例えば、インドネシアやマレーシアの森では植物油の原料となるパームツリーを植林するために、もともと存在していた森が開拓されていますが、そこで生活している動物たちは住処を奪われ、保たれていた生態系は失われてしまいました。

末吉さんがインドに行ったときには児童労働の現場を目の当たりにしました。
窓のない小さな部屋では子どもたちが朝から晩までロウソクを作っており、完成品には児童労働なんて想像させてくれないほど可愛いらしいデザインが施されていたそうです。児童労働のかたちは様々ですが、国際労働機関は義務教育を受ける年齢にもかかわらず学校に行かずに大人と同じように働いている 子どものことを指しており、こうした児童労働は世界に1億5200万人存在しています。

私たちが大好きなチョコレートはカカオ豆が主原料になっており、カカオポッドと呼ばれるカカオの実を鉈で叩き割ることで収穫しています。(片手にカカオポッドを持ち、もう片方の手に握った鉈でカカオポッドめがけて何度も振りかざします)。大きな鉈を扱う危険な労働にもかかわらず西アフリカでは子どもたちも大人に混じって鉈を振りかざしています。皮肉なことに、カカオがチョコレートになることすら知らない子どももいます。

ファストファッションの裏側では、洋服を安く作ろうとするあまり、労働環境や安全面に意識が及ばなくなり、バングラデシュの首都ダッカにあるラナプラザ縫製工場では工場が倒壊し、当時働いていた約1100名以上が死亡、2500人以上が負傷するという大惨事が起こりました。

エシカル消費はこれらの問題が起こらないように人・社会・地球環境・地域に配慮した消費活動のことを言います。フェアトレードを始め、エシカル金融、地産地消、応援消費、伝統工芸などが存在し、倫理的な消費行動の傘的な役割を果たします。

エシカル消費をする際に一番簡単でわかりやすいのが、認証ラベルのある製品を選ぶことです。エシカルにまつわるラベルは約430種類存在しており基準も様々だが、多くの場合、それぞれが環境問題や社会問題に配慮して生産されていることを証明しています。

認証ラベルの代表的なものにフェアトレードラベルがあります。フェアトレードは生産者が搾取されずに、健康を害することなく人間らしい生活を送れるだけの価格を最低価格保証として取引を行うシステムです。末吉さんがネパールでフェアトレードの基準に従いながら働く労働者を訪れた際は、現地の人々が家族と離れることなく地元で元気に働くことができていたそうです。

(フェアトレードについては次回、NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長を務める中島佳織さんに改めてお話いただきます。)

こうした取り組みは最近ますます加速しており、教育機関の教科書に採用されたり、大学ではフェアトレードやエシカルを追求するサークルがあちこちに存在しています。最近では消費者教育推進法に「公正かつ持続可能な社会の形成」という文言まで組み込まれました。こうした取り組みはオリンピックが近づくにつれ、ますます勢いを増すとともに、次世代の意識の変化により社会は少しずつエシカルなライフスタイルを目指すようになるでしょう。

これから8回にわたりエシカルの専門家をお呼びして講座を開催する予定ですが、まずは私たちの消費のあり方を見直し、「WANT」でものを買うのではなく、「NEED」で買うべき商品を選ぶと自ずとエシカルな消費行動に結びつくのではないでしょうか。また、お店にエシカルな製品がなかった場合にはリクエストすることも大事です。イオンでは一人の主婦の声からフェアトレード製品が販売されるようになったこともあり、消費者の声には企業を変える力を持っているのです。みんなでエシカルなノイズを起こしていきましょう!

次回の講座
4/28 (土曜)【フェアトレードはなぜ必要?認証のしくみとは?】
中島佳織さん (NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長)