2018春 エシカル・コンシェルジュ講座第三回レポート

こんにちは、エシカル協会のメディア・コミュニケーターの桑原です。最近は暑い日が続いておりますが、みなさま熱中症など体調は大丈夫でしょうか。水分補給を忘れずに楽しく毎日を充実させましょう!

さて、第3回目の講座では、国立環境研究所、循環型社会システム研究室室長の田崎智さんにお越しいただき【環境・社会配慮と消費行動~もったいないからエシカルまで~】についてお話いただきました。
田崎先生はリサイクルや廃棄をテーマに、持続可能な発展を促進する文系と理系の両分野を股に掛けて研究をしています。他にも家電リサイクル法の見直しの議論に従事したり、東京大学大学院の客員教授も務めておられます。

今回の講座では、環境配慮につながる目標意図や、行動意図を分析することで環境配慮行動やエシカル行動を促進できるようなアプローチについてご教授いただきました。
まず、環境問題はひとことに言っても「水問題」「森林破壊」「大気汚染 」などなど多岐に存在していますが、その特性ごとに三つに分類分けすることができるそうです。

①森林開発、コンクリートによる護岸工事、森林伐採、魚の乱獲、鉱物資源採掘などの自然に対して人間活動が与える環境問題

②PM2.5や地球温暖化による環境ホルモンの変化など、自然への排出物による環境汚染、環境変化

③国際間貿易などによる生物やウイルスの移動ど人間活動が及ぼす生態系や自然環境の広がりや変化

こうした環境問題は年々、深刻化する一方です。2015年に発表された最新のプラネタリーバウンダリー(地球の環境容量を18分野に細分化して深刻度を評価したもの)によると、種の絶滅の速度が、経済社会が誕生する以前よりの100倍の速度で進んでいることが明らかになりました。最近だとアフリカで保護されていたキタシロサイのオスが絶滅したことで世間を騒がせていましたね。このまま何も対策をしないまま時が経った場合、種が絶滅する速度はさらに加速し、現在の10倍、または大昔の1000〜10000倍にまでなるとも言われています。

生物多様性への配慮は今に始まったことではありません。世界的にも重要な課題と認識されており、SNSでも啓蒙を促す投稿を頻繁に目にすることができます。それにもかかわらず、本格的な見直しが進まないのは、なぜなのでしょうか。
田崎先生はこれについて、生物多様性が私たちの経済活動に直接的な影響を及ぼすことが少ないことや、若者の自然への関心低下が原因していると指摘します。実際に平成18年9月に内閣府から発表された「自然の保護と利用に関する世論調査」を見ると、自然環境に対して非常に関心がある20代は全体の11%ほどでした。他にも調査報告からは自然環境への関心は年齢が上がるにつれて高まっていることが読み取れました。

生物多様性が異例の速度で失われていることは理解できましたが、私たちはなぜ種を守っていかなければいけないのでしょうか。田崎先生は生態系がもたらす恵みが薄まってしまうためであると分析します。生態系がもたらす恵みにはそれぞれ供給サービス、調整サービス、文化的サービス、基盤サービスがあり、私たちに食料や水などの資源を供給をしてくれたり、気候の調整、精神的安定や教育的効果、循環や土壌の形成などの恩恵をもたらしています。
これまで人間は環境を犠牲にしながら、自分たちの都合のいいように社会を作り上げてきましたが、このままでは地球も限界を迎え、海面温度の上昇や砂漠化など様々な問題を引き起こすことになるでしょう。地球からポジティブな恩恵を持続的に享受していくためには、私たちは環境保護や環境保全に取り組む必要があります。とある地域では森林開発やコンクリートによる護岸工事には自然保護地域を指定したり、保全活動を促進するような地域指定制度で過度な開発を防いでいます。
また、森林伐採や魚の乱獲に対しては、木を植えたり、稚魚の保護をするなど、経済活動で生じた代償を別の何かで相殺する(オフセット)ことで環境への負担を減らしています。
四大公害や自動車の排ガス問題に対してはエンドオブパイプ(工場などのパイプから大気へ排出される有害ガスを最小限に抑える取り組み)や人間活動の見直しが進みます。外来種や温暖化によるウイルスの増加に対しては流入防止、隔離、ワクチンなどで対策をとっています。

上で記したような環境配慮行動には様々ありますが、環境保護は自然を利用せず傷つけないことを指し、環境保全は保護して安全を保つことができれば自然を利用しても良いという点で異なることも覚えておかなればなりません。

環境問題というと、以前は一部の産業が引き起こした特定の人々に対する問題とされてきましたが、時代の流れとともにその特性は変遷を遂げ、現在は多くの人々が加害者であり、同時に被害者にもなりうるという地球環境問題へと構造が変化しました。その原因の一つに大量消費主義があり、経済が豊かになると同時に、私たちは物質的な豊かさを追い求め、多くのものに囲まれて生活をするようになりました。

ピーター・メンゼルのマテリアルワールド(各国の家庭の物の多さを比較した画像)を参考に、世界でも高い幸福度を誇るブータンの暮らしと経済的に豊かな日本やアメリカの暮らしが比較されていましたが、これらの経済先進国の家屋からは多くの家具や衣類が出てきた一方で、幸福度が高いブータンに住む人々の家からはごく少量の物だけが出てきました。この例からも物質的な豊かさが必ずしも幸福に結びつかないことが見て取れます。しかしながら、アジア・太平洋の国々では2010年から2015にかけて物質的な豊かさを追求する人々が増えているようで、アジアの国々で物質消費量が増加しているそうです。

これまで環境と経済は対をなす関係として議論されてきましたが、今後はこうした二者択一の発想ではなく、Win-Winの関係を見出しすことが大事なのだと田崎先生は言います。トリプルボトムライン(環境、経済、社会への配慮)を達成することが持続可能なビジネスの根幹にあるという考えから、近年では世界中でグリーン経済やESG投資、持続可能なビジネスの追求など、環境配慮型経営への需要が環境変化とともに増加しているようです。
グローバリゼーションにより生産から消費までのサプライチェーンの動きが複雑化したことで、消費者が製品の背景にある環境問題や社会問題について知ることがこれまで以上に困難になりました。

2016年には産業革命以前に比べ、1.1℃高い温暖化記録を更新したことや、都市部の9/10人がWHOの大気質ガイドライン基準を満たさない空気を吸っていること、2013年には世界で31%の水産資源を過剰漁獲していることや、2010年には東・東南アジアが世界の42%の物質を利用していることなどなど、私たちの生活が地球に過剰な負担をかけている実態があります。

エシカル消費はその製品が与える社会や環境への影響や生産背景にいる人々に配慮して作られたもののことを指しますが、こうした製品の需要は社会環境の変化とともに今後ますます増加することになるでしょう。この消費スタイルを消費者が認識するようになるには、まずは問題認識が第一歩であり、私たち消費者が企業に対して情報開示を訴得ていくことがエシカル消費普及の近道なのだそうです。
また、私たちはリサイクルという方法で消費を通じて環境配慮をすることができます。リサイクルとは一般的にゴミを分別して捨てることや資材回収に貢献することを指しますが、リサイクルされた製品を購入することも立派なリサイクルです。リサイクルされた資源を使って需要がない製品を作ってもそこにマーケットがなければ意味がありませんから。収益性も考慮することで初めてトリプルボトムラインが達成できるのです。

今後私たちがエシカルな取り組みを普及するために、私たち一人一人が何ができるかという議論を行い、今回の講座は終了しました。

今回も長くなってしまった講座レポートでしたが、いかがだったでしょうか。なかなかアカデミックな内容だったので、理解するのに時間がかかってしまいそうですが、どれも本質をついたものばかりで、個人的にはエシカル消費の行動意図の分析は自分にとっては大変興味深いものでした。講座に参加された方にはプレゼンテーション資料も合わせて配布しておりますので、そちらもご参考にしながら講座を振り返っていただけたらと思います。

次回の第4回講座ではETHICAL FASHION JAPAN代表で、Fashion Revolution Japan co-ordinatorとしてもご活躍なさる竹村伊央さんに【私の服は誰がつくったの?ファッションで考えるエシカルな形】についてごお話していただきます。

第4回
6/9 (土曜)【私の服は誰がつくったの?ファッションで考えるエシカルな形】
竹村伊央さん(ETHICAL FASHION JAPAN代表、Fashion Revolution Japan co-ordinator)
https://gicz.jp/open/2018sp1/index.html

では!


2018春 エシカル・コンシェルジュ講座第二回レポート

みなさん、こんにちは。最近はポカポカ陽気が続き本当に過ごしやすい季節になりましたね。エシカル協会では5月12日に世界フェアトレードデーに合わせ、エシカルフェスタを開催したのですが、晴天のもと大勢の来場者に恵まれ本当に嬉しい限りです。会場には講座受講生も多く駆けつけてくださり、大変感謝しております。改めて感謝いたします。

イベントの様子はインスタグラムやフェイスブックのイベントページで投稿しておりますので、ご興味がある方はこちらからご覧ください。SNSのフォローも是非お願い致します。

さて、5月28日のエシカル講座ではNPO法人フェアトレードラベルジャパンの代表理事である中島佳織さんをお招きして【フェアトレードはなぜ必要?認証のしくみとは?】についてお話いただきました。

まず、フェアトレードが何かというと、発展途上国の生産者と取引する際に、生産者の生活を犠牲にすることのないような公正な価格(適正価格)で製品を買い取る貿易システムのことを言います。(※認証団体によって定義が若干異なります)
このフェアトレードの認証を受けた製品には、その製品の生産背景に搾取や児童労働がないことを証明するための「フェアトレードラベル」が商品のパッケージに印字され、商品の透明性を消費者に示すことができます。
日本でフェアトレードラベル団体が誕生したのが、ちょうど25年前、今回講師を務めていただいた中島佳織さんは、代表理事を務めて今年で12年目になります。

中島さんはもともと国際問題に興味があり、学生時代には積極的に国際貢献活動をしてきました。そんな中で、前回講師の末吉さんがお話ししてくれたような、毎朝顔を拭くために使っているタオルでさえも、コットンという原料を通して世界と密接に繋がっていることに気づきました。
従来のNPOなどでは支援金や物資提供をすることで国際貢献をしていますが、物質的な何かを与えるだけで生産物が買い叩かれているという根本的な問題を改善しない限り、本当の意味で貧困を解決することはできないとフェアトレードに注目するようになったそうです。

フェアトレードが日本で始まってから、25年間経ちますが、フェアトレードに対する認知や態度は全国的に劇的な変化を迎えています。特に最近だと教育機関の入試試験に「格差」や「新国際経済秩序樹立宣言」などの選択群と一緒に「フェアトレード」という単語が使用されるようになりました。他にも社会科や家庭科、英語の授業ではフェアトレードが取り上げられており、学校団体から中島さんの元へ出前授業の依頼がくることも年々増えているようです。

行政に関しては、もともと消費者の苦情の窓口になっていた消費者センターで、フェアトレード啓蒙活動が積極的に行われるようになりました。消費者が商品選択の際に、生産者を苦しめるような加害者にならないよう、最低限の情報を提供するためです。

某携帯電話会社の新CMでは「意識高すぎ高杉くん」というキャラクターが「このバナナはフェアトレードですか?」というセリフを発したことで、賛否両論の議論も起こりました。
これについてエシカル講座参加者同士で意見交換した際には「意識が高い」という言葉が軽蔑表現だという考えのもと、フェアトレードを敷居の高いものにするのではないかという懸念を示す方がいました。それと同時に「フェアトレード」という言葉が社会に浸透しつつあるという裏付けでもあるので、消費者が意識を持つきっかけになるので良いという声もありました。

このような意識の高まりは、フェアトレードに関したことだけでなく社会的消費とよばれる環境や社会に配慮した消費スタイルを意識する人も同時に増加しています。株式会社インテージリサーチによるインターネット調査によると、「購買意欲を刺激される社会的消費に関する用語」はオーガニックやエコ、ハンドメイドに続いて、26.7%の人が「フェアトレード」と答えました。

前回のレポートでも取り上げたように、カカオ農園やコットン業界の健康被害や児童労働の問題もまだ未解決のままで、世界では教育を受けるべき年齢の子どもたち約1億5160万人が危険な労働に従事させられており、約4030万人が奴隷のような劣悪な環境下で働かされている。

カカオ農家ではカカオポッドが詰まった自分の体重よりも重い籠を背負って運ぶので、子どもたちの背骨がきちんと成長することなく、そのまま大人になる人もいるそうです。コットン農家では農薬被害や先進国との価格競争に苦しみ、借金や健康被害に絶望して命を絶つ人までいるそうです。

気候変動は生産高に大きな影響を及ぼし、生産国の人々の暮らしを圧迫することに繋がります。2014年のブラジルでは干ばつ被害によりコーヒーの収穫高が通常の1/3に減少してしまいました。タンザニアでは1960年代以降、コーヒーの生産量が50%減少しているそうです。研究者の間では2050年までにコーヒー農園に適した耕作地は50%まで減少すると予想されています。
生産高が減少し、安定した原料調達ができなくなると、先進国の企業が持続的にビジネスを継続することが困難になります。この危機的状況の中、企業は将来の調達を確保するために社会や環境のことについて意識し、生産国の労働環境や環境に配慮せざるを得なくなっていると言えます。

こうした消費者意識の高まりや、社会情勢の変化を受けて企業側も新たな市場へと続々と参入してきています。企業が主体となり、人権問題や環境問題に取り組む動きが加速して、そうした取り組みは新聞で取り上げられることも多くなりました。

フェアトレードラベルジャパンはそうした企業の増加によりフェアトレードの定義が曖昧になることを防ぐために、生産国と消費国がそれぞれクリアすべき水準を明確にし、フェアトレードラベルという共通言語を設定することで、 生産者に一定以上の生活水準が約束されていることや、環境に配慮して生産されていることを第三者団体からの視点で示しています。

フェアトレードには冒頭で説明したような適正価格の他に、「プレミアム」という上乗せ金も含まれており、これを合わせたものがフェアトレードラベルジャパンが設定する正式なフェアトレード価格となります。このプレミアムは生産者団体によって貯蓄され、救急車や自転車を購入したり、学校を建てたり、保育施設を設置したりと村や団体のために使われ、その使用方法については村人によって民主的に決定されます。これがフェアトレードをする生産者にとってのインセンティブとなり、生産国でもフェアトレードを促進します。

「フェアトレード」は聞く人によってはチャリティのような印象を持つ 人もいるかもしれないが、物資や資金を与えるだけの援助とは別の側面を持ちます。生産者は自分たちが育てた生産品を適正な価格で買い取ってもらうことで、先進国からの支援に頼らずとも自分たちの生活を自分たちで豊かにできることを証明し、威厳と尊厳を持って生産活動に取り組むことができるのです。これは生産者のエンパワーメントにもつながり、品質向上のための重要なファクターと言えます。

先進国の企業がこの先も持続的にビジネスを展開するためには生産者との取引を適正価格で行い、生産者が良いものを作れる環境を整えることは最重要項目であり、それは企業の死活問題にまでなりつつあると中島さんは言います。

多くの企業では既にこの対策が取られ、イオンのプライベートブランド、トップバリュではチョコレートやジャムにフェアトレードが採用され、コープではコーヒーや紅茶、女性服にフェアトレードラベルが採用されています。
KALDIではコーヒーやチョコレートにフェアトレードが採用され、時期によってはフェアトレードコーヒーキャンペーンが展開されています。スターバックスではコーヒー各社の取り組み例としてエシカルコーヒークイズをやっており、この3ヶ月間はフェアトレードをテーマにクイズが出題されるそうです。(この問題はフェアトレードラベルジャパンが監修したそうなので是非挑戦してみてください。)
ベンアンドジェリーズアイスクリームでは原材料にフェアトレード原料を使用しており、そのテレビCMにはフェアトレードロゴが大きく表示されています。
その他、ホットマン、福助、豊田通商グループは製品にフェアトレードコットンを使用しています。特に豊田通商グループはグループ一環して社員ユニフォームのコットンをフェアトレード認証を受けたものに変更し、注目を集めました。

コミュニティ単位の普及促進活動としてはフェアトレードタウン認証があります。それぞれの地域で一定以上のフェアトレード製品を販売することで、町そのものがフェアトレードタウンとして認証を受けることができる制度です。日本では現在、くまもと市、名古屋市、逗子市、浜松市の四つでこのフェアトレードタウン認証を受けており、コミュニティ単位で積極的にフェアトレードの促進活動を続けています。世界ではこうしたフェアトレードタウンは2000以上存在し、ロンドンやパリなどのヨーロッパの地域ではほとんどの町がフェアトレードタウン認証を受けています。

海外と比べるとまだまだ遅れている日本のフェアトレード市場ですが、確実に社会はエシカルなものへと推移しています。東京オリンピックを契機に社会消費や企業の調達基準がどのように変容していくのかも楽しみです。

今回も長くなってしまった講座振り返りレポートですが、最後までお読みいただきありがとうございました。次回の講座は、ETHICAL FASHION JAPANの竹村伊央さんにお越しいただき、【私の服は誰がつくったの?ファッションで考えるエシカルな形】についてお話いただきます。どうぞお楽しみに!

次回の講座
6/9 (土曜)【私の服は誰がつくったの?ファッションで考えるエシカルな形】
竹村伊央さん(ETHICAL FASHION JAPAN代表、Fashion Revolution Japan co-ordinator)

尚、大変恐縮ではございますが、既にチケットは完売いたしております。
講座詳細はこちらの振り返りレポートでぜひチェックしてください!


2018春 エシカル・コンシェルジュ講座第一回レポート

こんにちは、エシカル協会でメディアコミュニケーターをしている桑原です。
先日は第一回、エシカルコンシェルジュ講座にご参加いただきありがとうございました。クッキー合わせのアイスブレイクから始まった今回の講座も皆さまのおかげで良いスタートをきることができました。本当に感謝しています!
こちらでは受講生の皆様が各講座をご自宅でも振り返ることができるように、講座レポートというかたちで紹介しております。なるべく噛み砕いて理解しやすいように書いていこうと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

さて、第一回目の講座は当協会の代表で、講座のナビゲーターを務める末吉里花さんからエシカルの基礎についてお話いただきました。

まずは今回の講座のテーマで、今後の講座を理解するための要となるエシカルという言葉ですが、英語では「Ethical」と書いて「倫理的な」という意味があります。もともとは法的な縛りがなくとも多くの人が正しいと思っていることや、本来人間が持つ良心から発生した社会的な規範のことを指していますが、エシカル協会ではこれを人、社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動のことと定義しています。

エシカル協会の代表理事である末吉里花さんは、TBS系「世界ふしぎ発見!」というテレビ番組でミステリーハンターを務めた経験の持ち主で、様々な秘境を巡るなかで、一部の利益のために美しい自然が犠牲になっていることに問題意識を抱えるようになりました。

元々は欲しいものは買うというエシカルとは正反対の生活をしてきた末吉さんですが、番組で訪れた秘境をきっかけに自分の生活スタイルを見直すようになりました。そのきっかけとなったのは、マンモスの牙を発掘しにシベリアに行ったときのこと。真冬にはマイナス80℃を記録する永久凍土の土地で自然と調和しながら暮らしているヤクート族の住む場所が温暖化により失われつつありました。先進国の多くの私たちが環境汚染をしながらテクノロジーの恩恵を享受している裏側には、自然と調和しながら慎ましく暮らす人々の生活が先ず犠牲になっていたのです。

また、標高約6000メートルのキリマンジャロに登頂した際には、氷河が予測されていたよりも早いスピードて溶けており、危機感を覚えると共に強いショックを受けたこともありました。

ミステリーハンターの仕事を終えると、次にサフィア・ミニーさんというイギリス人女性に出会います。「ファッションで世界を変える」をスローガンに掲げ、日本にピープルツリー(フェアトレードファッションブランド)を立ち上げた人物です。末吉さんは「自分の好きなことで世界を変えられるなんて、なんて素晴らしいことだろうと」これに賛同し、フェアトレードの世界にのめり込むようになりました。

現在は自身で一般社団法人エシカル協会を立ち上げ、エシカルフェスタやエシカルファッションショーの主催。教育機関、百貨店、企業、自治体などでの出前授業やエシカル講座ではナビゲーターを務め、消費者教育を軸に幅広い活動をしています。

さて、エシカルの話に戻りますが、みなさんがこれまでに買ったもので、一番お気に入りのものはなんでしょうか。講座会場からは時計やネックレスとお答えしていただきましたが、それらはきっと素敵なストーリーや意味があり、単なる「物」以上に特別なものにするのでしょう。ものを買うときの決め手は「安心」や「安全」、「品質」、「価格」という人が多いですが、ここに上述した「エシカル」というものさしを付け加えましょう。

私たちは普段から色々なものを消費して生活していますが、それがどこで誰によってどのように作られているか考えることはほとんどありません。口にする食品から着ている洋服、持っているスマートフォンまでもそれぞれに作り手が存在し、それらの背景には気候変動や人権侵害、児童労働などの社会問題が隠れていることも少なくありません。それらは貧困問題や生物多様性の損失に結びつき、私たちの生活にまで影響を及ぼします。

例えば、インドネシアやマレーシアの森では植物油の原料となるパームツリーを植林するために、もともと存在していた森が開拓されていますが、そこで生活している動物たちは住処を奪われ、保たれていた生態系は失われてしまいました。

末吉さんがインドに行ったときには児童労働の現場を目の当たりにしました。
窓のない小さな部屋では子どもたちが朝から晩までロウソクを作っており、完成品には児童労働なんて想像させてくれないほど可愛いらしいデザインが施されていたそうです。児童労働のかたちは様々ですが、国際労働機関は義務教育を受ける年齢にもかかわらず学校に行かずに大人と同じように働いている 子どものことを指しており、こうした児童労働は世界に1億5200万人存在しています。

私たちが大好きなチョコレートはカカオ豆が主原料になっており、カカオポッドと呼ばれるカカオの実を鉈で叩き割ることで収穫しています。(片手にカカオポッドを持ち、もう片方の手に握った鉈でカカオポッドめがけて何度も振りかざします)。大きな鉈を扱う危険な労働にもかかわらず西アフリカでは子どもたちも大人に混じって鉈を振りかざしています。皮肉なことに、カカオがチョコレートになることすら知らない子どももいます。

ファストファッションの裏側では、洋服を安く作ろうとするあまり、労働環境や安全面に意識が及ばなくなり、バングラデシュの首都ダッカにあるラナプラザ縫製工場では工場が倒壊し、当時働いていた約1100名以上が死亡、2500人以上が負傷するという大惨事が起こりました。

エシカル消費はこれらの問題が起こらないように人・社会・地球環境・地域に配慮した消費活動のことを言います。フェアトレードを始め、エシカル金融、地産地消、応援消費、伝統工芸などが存在し、倫理的な消費行動の傘的な役割を果たします。

エシカル消費をする際に一番簡単でわかりやすいのが、認証ラベルのある製品を選ぶことです。エシカルにまつわるラベルは約430種類存在しており基準も様々だが、多くの場合、それぞれが環境問題や社会問題に配慮して生産されていることを証明しています。

認証ラベルの代表的なものにフェアトレードラベルがあります。フェアトレードは生産者が搾取されずに、健康を害することなく人間らしい生活を送れるだけの価格を最低価格保証として取引を行うシステムです。末吉さんがネパールでフェアトレードの基準に従いながら働く労働者を訪れた際は、現地の人々が家族と離れることなく地元で元気に働くことができていたそうです。

(フェアトレードについては次回、NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長を務める中島佳織さんに改めてお話いただきます。)

こうした取り組みは最近ますます加速しており、教育機関の教科書に採用されたり、大学ではフェアトレードやエシカルを追求するサークルがあちこちに存在しています。最近では消費者教育推進法に「公正かつ持続可能な社会の形成」という文言まで組み込まれました。こうした取り組みはオリンピックが近づくにつれ、ますます勢いを増すとともに、次世代の意識の変化により社会は少しずつエシカルなライフスタイルを目指すようになるでしょう。

これから8回にわたりエシカルの専門家をお呼びして講座を開催する予定ですが、まずは私たちの消費のあり方を見直し、「WANT」でものを買うのではなく、「NEED」で買うべき商品を選ぶと自ずとエシカルな消費行動に結びつくのではないでしょうか。また、お店にエシカルな製品がなかった場合にはリクエストすることも大事です。イオンでは一人の主婦の声からフェアトレード製品が販売されるようになったこともあり、消費者の声には企業を変える力を持っているのです。みんなでエシカルなノイズを起こしていきましょう!

次回の講座
4/28 (土曜)【フェアトレードはなぜ必要?認証のしくみとは?】
中島佳織さん (NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長)


2018春 エシカル・コンシェルジュ講座、申込受付スタート!

皆さま、大変お待たせいたしました!

協会主催2018年春エシカル・コンシェルジュ講座、申込受付スタートです!!!
いよいよ講座の準備が整いました。
今期もまた新たな講師の方々をお招きし、エシカルの学びが深める内容になっております。
ぜひ奮ってご参加ください!講座でお目にかかれることを楽しみにしております。
(写真は前期講座の楽しそうな様子です♪)

私たちは今までの講座において、参加お申込みや受講料お振込みのご案内などを個々にメールで対応してまいりました。
今回からサービス拡充をはかり、グレートインフォメーション株式会社のジックZという仕組みを使って、講座のお申込みや受講料決済を行える専用サイトを立ち上げました。
以下の専用サイトから、詳細をご確認の上、お申し込みください。

https://gicz.jp/open/2018sp1/index.html

講座概要:

日時:4/21, 4/28, 5/19, 6/9, 6/23, 7/7, 7/14, 7,28, 8/4 《全て土曜》
一回目4月21日のみ、16:00~17:30
二回目以降(4/28, 5/19, 6/9, 6/23, 7/7, 7/14, 7,28, 8/4)15:00〜 16:30
※一回目のみ開始時間が異なりますので、ご注意ください。

場所:オーセンティックワークス セミナールームABC
東京都新宿区四谷2-11 アシストビル5階
(東京メトロ 四谷三丁目駅より徒歩5分)


第三回エシカル・コンシェルジュ講座レポート

皆さま、こんにちは桑原です。
あっという間に10月中旬!早いものですね。ヒンヤリしたと思ったら、また夏のような暑さに逆戻り。季節の変わり目で不安定な天候が続きますが、みなさまお体にお気を付けください。そうそう、季節の変わり目といえば衣替えですがエシカルコンシェルジュを目指すみなさまはどのようにするご予定でしょうか。参加者の中には自分でお洋服を作っていらっしゃる方がいて、あまりに上手だったので感動してしまいました。自分で作るって究極のエシカルのかたちですよね。

さて、第三回の講座では株式会社FEM代表取締役を務める山口真奈美さんにお越し頂き、「エシカル&サステナブルな認証ラベルの世界」についてお話いただきました。Read More


第二回 エシカル・コンシェルジュ講座レポート

皆さま、こんにちは桑原です。
最近は気温が少しずつ涼しくなってきて身体を動かすのが気持ちいい季節になりました。サイクリングをしていると金木犀の優しい香りや、銀杏のクセになるあの匂いにも出会うようになり、秋の始まりを感じます。僕は去年はオランダに留学しており勉強に追われていたので、今年はいっぱい読書して運動して日本の秋を満喫したいと思います。皆様はどのように過ごされるご予定でしょうか。

さて、第二回の講座ではNPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンから事務局長である中島佳織さんにお越しいただき「フェアトレードはなぜ必要?認証のしくみとは?」についてお話をいたただきました。Read More


第一回エシカル・コンシェルジュ講座レポート

皆さま、こんにちは。エシカル・コンシェルジュ講座のお手伝いをさせていただいている桑原です。この度、みなさまと一緒に授業の振り返りをシェアできたらと思い、このたびレポートのようなものを書かせていただくことになりました。みなさまよろしくおねがいいたします。Read More


【2017年春期エシカル・コンシェルジュ講座、定員に達しました】

【2017年春期エシカル・コンシェルジュ講座、定員に達しました】

皆さまにお知らせです。おかげさまで、講座の募集人数が定員に達しました。心から御礼を申し上げます。お申込みを締め切りさせて頂きます。もしご興味ある方は、キャンセル待ちで受付いたします。エシカル協会FBやこちらの公式サイトで、講座の様子をご報告しますので、引き続きよろしくお願いいたします!


待望のエシカル・コンシェルジュ講座、4月開講、受講生募集開始!

【2017年春期エシカル・コンシェルジュ講座、受講生募集開始】
当協会代表の末吉は2010年から『フェアトレード・コンシェルジュ』という講座名で開講していましたが、今期から『エシカル・コンシェルジュ講座』と名前を改め、『エシカル・コンシェルジュ講座』を開講いたします。タイトルをクリックして詳細へRead More