篠田るみ さん
Shinoda Rumi
#33
第33回目は、5期修了生の篠田るみさんです。インドでの学びやミスコンでの出会いをきっかけに、自分らしい生き方を見つけた篠田さん。アーユルヴェーダやヨガ、エシカルを通して「自然と調和して生きる豊かさ」や「自分自身とのパートナーシップ」を伝える活動への想いを伺いました。
profile プロフィール
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こんな活動をしています
インド生まれ、埼玉県小川町育ち。鎌倉での暮らしを経て、現在は長野県佐久市在住。大学卒業後、IT企業で営業・企画に従事。その後、ヨガ・アーユルヴェーダを学ぶため自身のルーツでもあるインドへ留学。帰国後はメディテーションカンパニーsuwaruにて瞑想講師として活動し、法人向けマインドフルネスプログラムの企画・講師も務める。現在は、心理学・コーチング・ヨガ・瞑想・アーユルヴェーダを統合したホリスティックなアプローチを通して、心と体を整え、安心と愛を土台に自分らしく生きるためのプログラムやリトリートを主宰している。
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おすすめのエシカル
【ファッション】
心から好きだと思える服を、長く大切に着ること:大好きな「ne Quittez pas(ヌキテパ)」は、インドの伝統的な手仕事や職人の技術を取り入れたものづくりが魅力のブランド。日本発のブランドならではの感性で、日常にも取り入れやすいデザインが生まれています。作り手の想いや、受け継がれてきた手仕事に触れると、服を「消費するもの」ではなく、大切に着続けたいと感じます。流行りだけで選ぶのではなく、心も満たしてくれるものを長く愛用する。そんな選択も、私にとってはエシカルな暮らしの一つです。
【暮らし】
朝は、一杯の白湯から:鉄瓶で、直火にかけて、ゆっくりと沸かす時間も大好きです。アーユルヴェーダでは、白湯は一日の始まりに身体をやさしく目覚めさせ、巡りを整える飲み物として親しまれています。お湯が沸くまでの数分は、「今日も自然の恵みの中で生かされていること」、「そんな自分は、今日は自然に何を還元できるだろう」そんなことを感じる時間。私にとって白湯は、ただ飲むものではなく、自然とのつながりを思い出させてくれる朝の習慣です。
インドと日本、二つのルーツが育んだ価値観
私はインドと日本のハーフで、インドで生まれ、日本で育ちました。生まれてすぐに移住したので生活の基盤は日本ですが、幼稚園や中学生の時に1年間家族でインドに住む経験をしていて、インドに親戚がいるので1〜2年に1回はインドに帰る生活を続けています。今の活動はヨガやアーユルヴェーダといったインドにまつわるものなので、やはり私のルーツはインドにもあると感じています。
日本では埼玉の田舎に住んでいたので、通っていた学校にハーフは私しかいませんでした。時代的にも多様性やグローバル、世界とのつながりという考え方は今ほどオープンじゃなかったので、できるだけ目立たないように周りに合わせて過ごす学生時代でした。とても窮屈だったのを今でもよく覚えています。
大学生になって都内に出て、全国からグローバルで多種多様な人が集まる大学で生活を送るようになり、本当にやりたいことや、興味があることが少し出やすくなったタイミングでした。そして大学の2年間は、「スタディーツアー」を企画・主催する学生団体に入り活動していました。学生を集めて、カンボジアのNGOなどを訪問し、教育や女性の権利、環境など、さまざまな社会課題や環境問題をテーマにしたツアーを企画していました。
私がインドにルーツがあるという理由で、団体としては初のインドへ行くツアーも企画しました。人生で初めて生き生きしていた時期だったと思います。世界の文化や現状を知り、課題について考えたり、日本で自分たちには何かできるかをディスカッションしたりすることがとても楽しかったです。
カンボジアのスラム街に行って、「どういうことが課題か、どういう時に幸せを感じるか」とインタビューした時に、あるお母さんが「家族みんなでご飯を食べている時が一番幸せ」と言っていました。「みんなでご飯を食べるって普通じゃん」と思っていましたが、その方が心から「幸せだ」と言っているのが伝わってきて、幸せの尺度や、幸せの感じ方、幸せの定義は人それぞれで本当に違うことにとても衝撃を受けました。そこから社会や幸せとは何かという問いに、より深く興味を持つようになりました。

会社員からミスコンへ、自分を変えた挑戦
大学卒業後、 NTTドコモに入社して初めて配属されたのが長野支店でした。都会に出たかったのに、配属先は再び自然豊かな長野。最初は大泣きでしたが(笑)、半年も経たないうちに長野の圧倒的な大自然に魅了されました。地元の埼玉県小川町は日本昔話みたいな里山っぽい生活感のある自然でしたが、長野は壮大なアルプスのような大自然で本当に絶景で、心から癒されて、温泉を巡るなど、長野での暮らしを満喫しました。
長野支店では3年営業として働き、その後東京本社に戻り、リサーチする部署で働いていました。でも新しい部署の業務は、自身の素質に合わないと感じることが多く、自分らしさを活かせていないことがストレスになっていきました。そこから「仕事は仕事、それ以外の人生を楽しむ」と割り切ってアフターシックスを楽しみに生きていました。周りもそれが当たり前だったし、割り切るのが普通だと思っていました。
予定を入れて忙しくすることで幸せを感じようとしていましたが、だんだん疲れてきて、仕事もプライベートも思うように進まず、「やっぱりこのままじゃいけないんだ!」「何か新しい世界を広げる行動をしないと!」と思うようになりました。そこから思い切って、ミスコンに挑戦することを決めて、2017年ミスワールド日本大会や、その他ミスコンで日本代表として世界大会へ出場しました。会社員をしながらだったので、休日にウォーキングレッスンへ行ったり、ヨガレッスンへ行ったり、有給を使って1週間休んで大会へ行ったりしていました。

人生が動き出した「自分軸」と出会い
ミスコンは人生の価値観がまたガラッと変わったタイミングでした。今までは同じ大学、同じ会社など、大体似た価値観の人が集まる環境に身を置いて、王道のレールの上を歩く人生だったように感じます。でも、ミスコンは同じ年代のさまざまな分野の女性が集まっていて、フリーランスの方や私が想像もしていなかったような働き方で活躍している方もいました。その当時、私は自分の価値観だけで生きていたので、正社員以外の生活は全く考えられませんでした。その価値観を打ち砕いてくれたのがミスコンです。
その中でも特に、ミスエチオピアの女性との出会いは私の人生を大きく変えてくれました。彼女は当時18歳くらいで、ミスコンの中でも一番若いのに肝が座っていました。ミスコンはコンペティションなので、やはり勝ちたいという気持ちがあってみんな緊張するのですが、彼女はなぜかいつも堂々としていました。「緊張しないの?不安はないの?何でそんなに堂々としていられるの?」と聞くと、
「全然緊張しない。私は母が小さい頃に癌で亡くなってしまった。でも、その癌はもし他の国にいて医療を受けられる環境があったら救える病気だった。でもエチオピアは医療が発展していないから、その癌を救うことができなかった。だから、この国の医療の課題をもっと世界中の人に知ってもらいたい。私は医者になる素質はないけど、モデルとして表現する力はある。だからミスコンに出て、スピーチをして、モデルとして有名になって、エチオピアの医療の課題をもっと世界に発信していきたい」と答えました。
その時、衝撃でものすごく鳥肌が立って「これが自分軸だ…」と思いました。そして、もう社会人なのに、この先どうするか迷っている状態の自分に、頭の中で鐘をガーンと鳴らされた気分でした。自分で選んだ道をまっすぐ進む姿が本当にかっこよくて、私も人生でそういうものを見つけて、ブレない強い女性になりたいと強く感じました。

インドで学び、エシカルと出会う
2018年、思い切って会社を退職し、ヨガ哲学やアーユルヴェーダを学ぶためインドへ留学に行きました。ヨガの聖地と言われている北インドのリシュケシと、アーユルヴェーダの聖地と言われている南インドのケララへ合計4か月ほどかけて、現地の学校で学びました。そして、アーユルヴェーダの学びの中で、私たちの体や人生が自然のリズムや自然の法則にいかに影響を受けているのかを知りました。
アーユルヴェーダの原理では、私たちは空風火水土の5つの自然の元素で作られています。人は自然の一部であることや、自然があるから生きていけることは当たり前に知っていましたが、体系的に学ぶことで腑に落ちました。やっぱり自然のリズムや法則に沿って生きないと、ストレスや不調が増えて人生がうまく巡らない。私はそれを無視していたからいろいろ辛かったのだと気づいた瞬間でした。
そして、私のテーマは「自然と調和して生きる」ことだと感じて日本に帰って来て、あるイベントで出会った方が紹介してくれたのが末吉里花さんでした。里花さんがどんな活動をされているか聞いたときに、自分がやりたいことや興味のあることに近いことをされていてとても素敵だなと感じました。その後、里花さんのイベントに参加してエシカルという概念を知り、2019年にエシカル・コンシェルジュ講座を受講しました。
2019年は、エシカル・コンシェルジュ講座の他にも、日本アーユルヴェーダスクールに1年間通ったり、メディテーションカンパニーsuwaruの1期生として瞑想のコースを学んだり、アーユルヴェーダのワークショップを始めたり、会社員時代に貯金したお金で学びを深める準備期間でした。2020年からsuwaruで瞑想の講師業をスタートし、瞑想講師歴は6年ほどになります。

アーユルヴェーダとエシカルが教えてくれたこと
アーユルヴェーダやヨガの自然の法則の概念や考え方は、どうしても現代社会からちょっと切り離されがちで、スピリチュアルが好きな人がやっているみたいな見方をする人も多い分野だと思います。でも、エシカルも、現代の社会や経済の仕組みの中で、自然との共存や循環を大切にしています。その根底にある考え方は、アーユルヴェーダやヨガと共通していて、とても安心しました。そして、経済社会を生きながらも、自然と共に調和して生きることに真剣に取り組んでいる人たちがいることに深く感動して、どんどんエシカルのことを知っていきたいと思うようになりました。
エシカル・コンシェルジュ講座は全部面白かったですが、一番印象に残っているのは認定 NPO法人アニマルライツセンター代表理事 岡田千尋さんの「エシカル消費と動物への配慮とは」です。平飼い卵や、フォアグラ、羽毛の話などいろいろ衝撃でした。フォアグラは事実を知る前は美味しいと思って食べていましたし、デートや記念日にコース料理に連れていってもらったら、フォアグラを食べて幸せを噛みしめていました。
でも、その背後でこんなにも苦しんでいる鳥たちがいたことが本当に衝撃で、それ以降は食べなくなりました。「食」は毎日口に入れる身近なものなのでインパクトが大きかったです。自分が命をいただいているものの背景にどういう人たちが関わっていて、どういうことが現実としてあるのかを知れて良かったです。
エシカルという視点を交えたアーユルヴェーダ
エシカル・コンシェルジュ講座を受講後の一番大きな変化は、自然と日常のつながりがより強くなったことです。エシカルは、毎日の買い物や着る服など、ちょっと何かを変えるだけで取り入れられることがあって、自然との循環につながる選択を自分でできると思いました。
商品の裏を見て、フェアトレードや認証マークを少し意識する。「誰が、どこで、どのようにして作られたものなのか」を理解して選ぶ。それだけでも、その一票がエシカルな選択をする暮らしにつながっていくし、周りにもシェアしやすいし、日常に取り入れやすいと思いました。
アーユルヴェーダには、自然と調和して生きるための知恵がたくさん詰まっています。ただ、「自然のリズムで暮らす」「自然と調和する」と言われても、日常生活の中で具体的に何から始めたらいいのか、イメージしづらい方も少なくありません。私自身も、以前はその考え方を人に伝えるときに、「どうすれば日々の暮らしにつながる形で伝えられるだろう」と感じることがありました。
そんな時に出会ったのが、エシカルという視点です。例えば、アーユルヴェーダでは体質や季節に合わせて旬の食材を選ぶことを大切にしているのですが、エシカル視点の商品や生産者の背景にあるストーリーを知って選ぶことも、結果旬の食材を選ぶことに繋がりますよね。
平飼い卵を選ぶことなど、地球や命への影響がどうあるのか考えることは、自然との循環を意識した暮らしの一つですが、アーユルヴェーダの自然と調和した暮らしにも繋がります。そうした身近な具体例を通してお伝えすると、アーユルヴェーダの考え方が日常と結びつき、「なるほど、こういうことなんだ」とより実感を持って受け取ってもらえるようになりました。
エシカル・コンシェルジュ講座を受講してから、もう7年ほど経ちます。当時は、物や服、平飼い卵、認証マークなど、「エシカルなものを選ぶこと」に意識を向けていました。それももちろん大切なことです。でも今は、その前提にある「自然のリズムに沿って暮らしているか」という感覚の方を、より大切にするようになりました。
また、「これが正解」という見方ではなく、エシカルな考え方も、そうではない考え方も、一度フラットに受け止めてみることを意識しています。その上で、自分自身はエシカルな選択をしたいと思っています。でも、違う選択をする人にも、その人なりの理由や気持ちがあることを理解したいとも思っています。今の私にとって大切なのは、「何を選ぶか」だけではなく、「どんな心で選ぶか」ということ。より広く、柔らかい視点で物事や人を見られるあり方の方が、しっくりきています。
自分とのパートナーシップを育む仕事へ
今年の5月にまたいつか住みたいと思っていた長野に移住し、現在は今までの人生の経験と学びの集大成として自分の講座をメインに仕事をしています。今年の8月からスタートした1期生の講座のテーマは「自分自身とのパートナーシップを深めて、内側から安心と愛で満ちた自分で生きる」です。私自身、20代半ば〜30代頭まで、不摂生な生活をしたり、パートナーシップがうまくいかなかったり、人生に迷っていました。
ですが、妊娠・出産をきっかけに、一度立ち止まり自分を本当の意味で見つめ直しました。さまざまな人生の悩みや、ストレス、課題、それらを一つひとつ深く見つめていくと、最終的に行き着くのは自分とのパートナーシップだと感じています。
でもそういうことは学校では教えてもらえないし、気持ちをどう処理したらいいか分からない人がほとんどです。講座はアーユルヴェーダとヨガをベースに、自然と調和するライフスタイルや食事で土台を整えていくことで、本来の自分とつながり学びを深めて実践していく内容になっています。

その他にも、オンラインで女性限定のウーマンズサークルを主催しています。「自分の人生をもっと自分らしく、安心して幸せに心豊かに生きていく」がテーマで、自分を深く理解する上で自然と調和し、自然を理解することは必要不可欠です。自然のリズムを大切にしながら調和して生きられる人をもっと増やすサポートがしたいと思っています。
忙しい社会の中で働くのが当たり前になっている現代。特に女性は働いて、育児をして家事をして、本当にパワフルにたくさんのことをやって頑張っている方が多いと思います。それもとても素敵でかっこいいことですが、心のバランスを崩したり、女性系の不調が出てしまったりする人が増えているのも事実です。
頑張りすぎてしまう生き方から、女性らしい在り方を受け入れたり、もっと委ねて信じてエネルギーを受け取ったり、女性ならではの生き方や力の使い方を、私自身もっと実践して広げていきたいです。そして、そういうことをシェアしてサポートすることができるサークルや講座をしていきたいと思っています。
やっぱり人は緊張や警戒モードだと、嫉妬や執着などが生まれて、ストレスが溜まり、争いも起きやすくなると思います。でも、安心して、委ねて、穏やかに、豊かに、自分らしく生きられる人が増えたら、自然といろいろな社会の問題や課題が減っていくのではないかと感じています。

体験することが、人生を豊かにする
長野に移住したきっかけは、もっと自然のリズムや自然と調和した暮らしをしていきたいし、子供にもそういう環境でさまざまな体験をさせてあげたいと思ったことです。まさに今、何億年も前から佇んでいる安定感のある長野の山が、しっかり地に足を着けて自分の中の道や軸を安定させていくような力を与えてくれていると感じています。
今の時代、AIに聞けば何でも答えてくれますが、それで知っているのと、それを本当に体験して知っているのでは、雲泥の差だと思っているので、「感じること」をとても大事にしています。でも、そういう機会を意識して作らないと、なかなか難しい現代です。
動画の中だけで他人の世界を見て1日が終わってしまったり、家の中で情報処理をして1日が終わってしまったり。いろいろな情報や学びの良し悪し、自分の価値観にある・ないをすべて頭で判断してしまい、心で「感じる」機会がどんどん減っていると思います。
でも、私が幸せや豊かさを感じるのは、理解した時ではなく、気持ちで心に何かを感じた時、体験した時です。そういう風に感じることの良さや、体験する醍醐味をシェアしながら、人間らしく自然を感じながら生きる豊かさを、多くの人と育んでいきたいです。次世代の子どもたちにバトンタッチできるようなサークルやリトリートもやっていきたいと思っています。
