【カンボジア・シェムリアップ】旅することで社会貢献、シェムリアップのサステナブルな選択
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カテゴリ: 国内・海外視察レポート
今月より、数回にわたってお届けする海外視察レポートがスタートします。
2024年からエシカル協会のIT担当として加わった團さんが、アジア各地を巡る中で出会った“エシカルな現場”を、現地の空気感とともにレポートしてくれます。
第一弾はカンボジア編。現地のリアルな取り組みや、人々の声を通して、日本とは異なるエシカルのあり方を一緒に覗いてみませんか?
【カンボジア・シェムリアップ】
旅することで社会貢献、シェムリアップのサステナブルな選択

アンコールワットをはじめとする壮大な遺跡群で知られるカンボジア・シェムリアップ。
歴史と文化が息づくこの街には、実はエシカルでサステナブルな取り組みを行っている素敵なスポットがたくさんあります!
今回の旅では、地元の人々や環境に優しいショップやカフェ、社会貢献につながる施設などを巡ってきました。観光を楽しみながら、自分や周りに少しでもポジティブな影響を与えられる旅ができたら素敵ですよね。この記事では、私たちが訪れたスポットをいくつかご紹介していきます!
- Spot 1『Bayon Pastry School Coffee Shop』
- Spot 2『TA AN CAN ART』
- Spot 3『ARTISANS ANGKOR』
- Spot 4『SALASUSU』
- Spot 5『SISTER SRAY CAFE』
- Spot 6『APOPO』
- Spot 7『Fair Trade Village』
- Spot 8『Earth Tree Village』
- カンボジアの現地体験から学ぶ、サステナビリティ
Spot 1『Bayon Pastry School Coffee Shop』


こちらの『Bayon Pastry School Coffee Shop』は、フランス系NGO『Bayon School』が運営するカフェで、細い小道を通り抜けた先にあります。『Bayon School』は、恵まれない子供や若者に無料で質の高い教育を提供しており、売上は彼らの教育支援の一部になっています。女性は教育の機会が限られ安定した職を得にくいということから、女性のみを対象にした学校もあります。
注文したモーニングプレートは、フルーツが新鮮で美味しく、パンのレベルが想像以上に高くて美味しかったです!何より心を動かされたのは、こちらのカフェで働くスタッフの皆さんの笑顔。キラキラしていて、働くことへの感謝と喜びがひしひしと伝わってきて、感動しました。
おしゃれな空間で本格プレートを味わいながら、若者の夢を応援できる場所なので、シェムリアップに行かれる際はぜひ足を運んでみてください。
Website:bayoncoffeeshop.org
Spot 2『TA AN CAN ART』

次に訪れたのは、特にリサーチもせずに歩いていたら見つけたこちらのショップ『TA AN CAN ART』。
街を歩いていると目を引く文字が ”どどん” と現れ、吸い込まれるようにお店の中へ!こちらは、リサイクル素材を活用したアート作品や雑貨を販売しているお店です。カンボジアの環境問題への意識を高める活動を行い、エコでユニークなアイテムがたくさん並んでいます。店内に並ぶほとんどのアイテムに、缶のプルタブが使用されており、私は終始興奮気味。興奮しすぎて、お店の方に「Is this tab?」「tab?」「TAB?????!」と何度も聞いてしまい、お店の方も笑っていました。こんなにしつこく質問する観光客に対して、嫌な顔ひとつせず付き合ってくれる温かさも感じられる、人にも環境にもやさしいショップです。
一点ものに出会いたい方は訪れてみてください!
Spot 3『ARTISANS ANGKOR』


こちらは『ARTISANS ANGKOR』と言って、伝統工芸の技術継承と地元職人さんの支援を目的とした工房です。
ここで販売されているほぼ全てのアイテムが、カンボジアの素材を使ってカンボジアで作られています。2枚目の写真にもあるように、彫刻やシルク製品の制作過程をかなり近くで見学できます。私たちが見学しに入った時がちょうど職人さんたちのお昼休憩だったのですが、みなさんWelcomeモードで迎えてくれました。「入って入って!」と手招きして、実際に作るところを間近で見せてもらうことができました。
大量生産ではなく、一つ一つ手作業で作られた高品質なハンドメイド商品。お土産選びの選択肢にぜひ加えてもらえたら嬉しいです。
Website:https://www.artisansdangkor.com/
Spot 4『SALASUSU』


かものはしプロジェクトから独立した『SALASUSU』は、貧困層の女性に、職業訓練と教育の機会を提供する社会的企業で、今までに200人以上の卒業生を輩出し、それぞれが自分のキャリアを築いています。
ショップに並ぶアイテムはどれも、どこか懐かしく、私たち日本人にもすごく馴染みのあるデザインばかり。よく見てみると、すべての製品に畳でお馴染みの『い草』が使われていました!
話を聞いてみると、い草もカンボジア産だそう。カンボジアでもい草が栽培されていると知り、驚きました。MacBookケース、サンダル、エコバッグなど、い草を使った様々な製品が作られており、いくつか購入しました。
ちなみに日本では近年、い草で作られた畳の需要が減り、さまざまな理由から国産い草の生産量が減りつつあります。日本では『IGUSABI』というブランドが、国内のい草農家さんとプロダクト開発を行ったり、い草の効能などの発信を行っています。
IGUSABI – Website:https://igusabi.jp/
カンボジアに来て、い草でこんなにも多種多様なサステナブルアイテムが作れるのか、と学ぶきっかけになりました。フェアトレードブランド『SALASUSU』で地球にも職人さんにも優しいアイテムを、ぜひ手に取ってみてください!
Website:https://salasusu.com/
Spot 5『SISTER SRAY CAFE』



こちらは、地元食材を使った料理が楽しめるおしゃれなカフェ**『SISTER SRAY CAFE』**。
ヴィーガンフードなどヘルシーなメニューも豊富で、ストローには竹をそのまま使用するなど環境にも配慮したサステナブルスポットです。カフェの利益は、若いカンボジア学生へのトレーニング支援や、この後ご紹介する『APOPO』への寄付に活用されています。
カフェは開放的な空間で、スタッフの方も鼻歌のレベルを超えて気持ちよく歌いながら接客してくれるので、こちらまでオープンに楽しい気持ちになれちゃいます。
Instagram:https://www.instagram.com/sistersreycafe/
Spot 6『APOPO』



先ほどご紹介した**『SISTER SRAY CAFE』**で見つけた『APOPO』という団体。この団体は、世界中で地雷探知活動を行う国際NPO団体です。
私たちが訪れたのは『Hero RATs』と呼ばれる地雷探知ネズミの訓練施設です。カンボジアが抱える地雷の問題、地雷除去活動を学べます。『Hero RATs』がどのように地雷を探知するのか、また彼らに危険はないのか、を実際に見学することができます。実際にそのネズミたちと触れ合い、抱っこすることもできます。
約40分くらいのツアーで、ネットからすぐに申し込みができます。私たちもツアー開始の10分前くらいに滑り込みで申し込めたので、気になる方はチェックしてみてください。
※ツアーはすべて英語での説明となるので、ご注意ください。
Website:https://www.apopo.org/
aSpot 7『Fair Trade Village』



次に私たちが向かったのは、フェアトレードの手工芸品を扱う**『**Fair Trade Village』。
現地の職人によるハンドメイド商品がずらりと並んでいます。伝統的な織物、木彫り工芸品、陶器、ジュエリー、竹を使った小物、リサイクルアイテムなどが揃い、実際に作っているところも見ることができます。
購入することで、現地の職人たちの生活を支援でき、エシカルなお土産探しに最適なスポットです。
私はここで再利用されたプラスチックパッケージを使ったパスポートケースを購入しました。
Website:https://www.thefairtradevillage.com/
Spot 8『Earth Tree Village』






そしてカンボジア旅の締めくくりはこちら、『Earth Tree Village』です。
こちらは、NPO法人earth treeが運営する複合施設で、貧困や環境問題、人種差別などの社会課題に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。『Earth Tree Village』へは、上記の団体が開催している現地ツアーに参加して行くことが出来ます。
今回のツアーでは、ローカル市場で朝ごはん→村の学校見学→Earth Tree Village→お昼→村の人たちと交流→ワークショップなどの盛りだくさんの体験をさせていただきました。
日本のように設備や、環境が整っているわけではないのに、この村で生活している人たちは、どうしてこんなにキラキラした目をしているんだろう。手を伸ばせば何でも手に入る私たちの方が、常に何か足りない、空虚さを感じているように思えました。
先生たちは、学校で子どもたちに勉強を教えた後、自分たちの教育レベル向上のために学校へ学びに行く人が多いそうです。昔に比べ、今ではほとんどの子ども達が学校に通えていますが、教育の質はまだそれほど高くはないそうです。過去に、ポル・ポト政権の影響で多くの教育者が殺害され教育の基盤が壊滅したことで、今先生として子どもたちに勉強を教える世代がその影響を受けています。
学校見学の他にも、村での暮らしや他国からの支援の状態、環境問題への課題などに触れることが出来ました。最後は、オンラインでも販売されている竹細工のワークショップで現地の方に作り方を教わりながら、キーホルダーを作りました。地元のみんなが明るいので、言葉は通じなくても、問題なくコミュニケーションを取ることができました。
earth tree代表の加藤さんは、「与えてもらってるのはどっちなんだろうね。彼らから多くを学んでいるし、足るを知るだね。」と様々なエピソードを話してくれました。
ツアーでは、カンボジアの現状や、昔と今の変化、村の人たちの生活の知恵など、地元の人たちからも生の声を聞くことができ、日本が恵まれている部分、足りない部分、カンボジアが恵まれている部分、足りない部分に気付くことが出来ました。
Website:https://npo-earthtree.com/?utm_source=chatgpt.com
カンボジアの現地体験から学ぶ、サステナビリティ

カンボジアは教育や貧困の課題を抱えつつも、他国からの支援に対して当たり前とは思わず感謝の気持ちを持って、人々が支え合いながら前を向いて生きています。一方、日本などの先進国は豊かではあるものの、大量生産・大量消費が普通となる社会の中で「本当に大切なもの」を見失いがちのようにも感じました。日本の食品ロスは年間約472万トンにのぼり、国民一人当たりの廃棄量も世界的に見ても高水準です。食べられること、教育が受けられること、仕事があること、自分たちに与えられた環境は、決して誰にでも保証された権利ではない。
大袈裟かもしれませんが、私は今まで自分の人生を必死に生きていただろうか、と考えさせられました。旅をすることで、異なる価値観に触れ、持続可能な未来に向けた選択ができるようになるのだと思います。
シェムリアップで感じた「足るを知る心」を、日々の暮らしの中でも大切にしていきたいですね。
次回は、ハノイ(ベトナム)編です!
今回レポートを執筆してくれた團さんは、株式会社橙十(とう)を立ち上げ、日欧を舞台にエシカルツーリズムの企画・展開にも取り組んでいます。
「エシカルなアクションを広め、誰もが自然にエシカルな選択をできる社会に」ことをミッションに、現地とのつながりを大切にしたツアーづくりを進めてられています!
会社紹介:
株式会社 橙十(TOUX Inc.)は、「エシカルなアクションを広め、誰もが自然にエシカルな選択をできる社会に」というミッションを掲げています。社名には「問い(問う)」を通じて共に考える姿勢、社会課題を前向きに解決していこうという想いを込めています。
Website:https://toux.notion.site/
Instagram:https://www.instagram.com/dan_ethical
ツアー紹介:
私たちは、エシカルツアーやメディアを通じて、国内外のエシカルな取り組みを多様なセクターとつなぐ“エシカルハブ”として活動しています。現在、日本(関西)を拠点に、国内外のエシカルスポットを巡るエシカルツアーを企画しています。ツアーや協業にご興味のある方はWebsite、Instagramからお気軽にお問い合わせ下さい。