エシカルな消費とは?


 私たちは日々、何かしら消費をして生きています。食料、洋服、エネルギーなど1日の生活を振り返ってみても、多くのモノを消費しています。では、それらが誰の手によって、どこで、どのように作られたか、考えたことはあるでしょうか?自分で意識的に調べない限り、それを知ることはありません。

 けれども、私たちが消費しているモノの生産背景を知ることは、とても大事なことです。なぜなら、それが世界中で今緊急課題とされている、「貧困問題」、「人権問題」、「気候変動」を解決するための、大事なきっかけとなるからです。

 これらの問題は先進国の人々が大量生産、大量消費を繰り返してきたことによって、社会的に立場の弱い生産者が搾取され、貧困に喘ぐ状況が生み出されたり、地球の再生能力よりもはるかに早く、有限な資源を使い果たし環境を破壊しているのです。

ゴミ

世界のコットン農薬の問題


 一般的なコットンの生産には大量の農薬が使われるのですが、この農薬によって健康被害で毎年約2万人が亡くなり、300万人もの人々が慢性の病に苦しんでいます。(WHO世界保健機構)

 コットンの畑は、世界の全農作物における耕作面積の約5%を占めていますが、農作物に使用される殺虫剤の約25 %が、コットン畑に使われています。生産者のほとんどは、発展途上国に暮らす小規模農家で、いくらコットンを生産しても安く買い叩かれ、僅かな収入しか得ることができません。

 インドでは、40万人もの児童が農薬に汚染されたコットン畑で、強制的に働かされています。1枚のコットンのTシャツを作るのに、種を育てるところから最終製品が出来るまでの過程で、約2000ℓもの水が使われています。

 毎日身につけているコットンの洋服や下着が、このような状況で生産されたものだと知ったら、自分の消費に関してもっと関心を持つべきだと思うはずです。

私たちが考えるべき消費のあり方


 今まで私たち消費者は「貧困問題」、「人権問題」、「気候変動」は個人の問題ではなく、企業や社会の問題だと思って目をそらしてきてはいなかったでしょうか。

 世界で起きている、深刻な問題を消費者として解決するひとつの有効な手段として「エシカル消費」があります。エシカル消費とは、「人と社会、地球環境のことを考慮して作られたモノを購入あるいは消費する」という意味です。実は私たち消費者は、日々の買い物を通じて、世界に影響を与える力を持っています。

 コットンを一例に挙げていえば、発展途上国の小規模農家がオーガニックコットンを育て、それを買い手が適正で公正な値段で購入することにより、農家の生活改善と自立が支援され、農地の環境も破壊されることがなくなります。この仕組みをフェアトレードと言います。フェアトレードもエシカルな消費のひとつです。フェアトレードによって生産されたオーガニックコットンを私たち消費者が選ぶことが、エシカルな消費になるのです。

エシカル消費の理念


それではエシカルな消費とは具体的にどのように考えに基ずくのでしょうか。エシカル協会では、私たちの消費によって以下のことが守られることを『エシカルな消費の理念』として掲げています。

これが現在、一般社団法人エシカル協会の考える「エシカル消費」の理念です。

「エシカル消費」には正解はありません。それは場所と時代と社会によって異なります。今の時代、これからの社会にとって何か必要か?今の時代、これからの社会には、どのような課題や問題があるのか?課題や問題にどうやったらエシカルなアプローチができるのか、これをまず考え、想像することが大切です。

エシカル消費の具体例

「エシカル消費」はフェアトレードに限らず様々な種類があります。私たちは「エシカル消費」を3つに分類し、それぞれの中に具体的な消費の例を挙げました。(ここに挙げた例はほんの一部です)

環境に配慮された消費

 環境に配慮したエシカル消費とは、日常、私たちは自然環境に頼って生きているという意識を持って、環境を思いやって消費するということです。環境に配慮した製品の購入はグリーン購入と呼ばれ、日本では20年以上の歴史があります。地方自治体や民間企業にはグリーン購入する努力義務があります。グリーン購入法やグリーン契約法などの法律も整備されて、政府やその関係機関はグリーン購入の義務を負わされています。

●グリーン購入
●自然エネルギー利用
●エコマーク付き製品
●オーガニック製品
●車のレンタル・シェア
●エコホテル
●省エネ、低炭素製品
●動物福祉製品
●国産材使用
●持続可能な森林認証
●持続可能な漁業認証
●持続可能な鉱山から採掘された鉱物使用
●フェアトレード製品
●リサイクル製品

環境消費

社会消費

人・社会に配慮された消費

 社会へ配慮したエシカル消費としては、途上国などで児童労働などの社会問題や環境問題を引き起こすことなく生産された服(エシカルファッション)の購入などがあります。

●フェアトレード製品
●障害者の作った製品寄付付き製品
●社会的責任投資(フェアファイナンス)
●ペイフォワード

地域に配慮された消費

 地域へ配慮したエシカル消費としては地産地消や応援消費などがあり、2011年東日本大震災以降、応援消費が活発になっています。

●地産地消(自然エネルギー等も含まれる)
●地元商店での買い物
●応援消費
●伝統工芸
●友産友消
●フェアトレード製品

地域消費

消費者として私たちのできるエシカル


 日本のGDPのうち、個人消費を占める割合はいったいどのくらいでしょうか?2013年に発表された統計によると、約6割を示しています。(消費者庁平成26年度版消費者白書第3章1節より)消費者、生活者が社会や経済に与える影響は大きいということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 私たち消費者が力の大きさを認識し、「買う」という行為をしっかりと考えて行うことが大切です。毎日の消費行動は決して個人的な行為ではありません。何かを買う瞬間、人や社会、環境、ひいては未来にまで影響を与えています。買い物の際に、商品が作られた背景を意識してみたり、エシカルな商品を手にとってみるということは、すぐに実践できるはずです。意識さえすれば、日々の暮らしの中でエシカル消費は始めることができるのです。

 日々の暮らしの中で、以下の事例をひとつでも実践している方はいますか?

  • 長寿命でエネルギー効率の良いLED電球を選ぶ
  • 燃費の良いエコカーを購入する
  • 太陽光パネルの付いた省エネ住宅に住む
  • 風評被害にあっている地域の農産物を購入する
  • 地元の農家さんから、直接オーガニック野菜を購入する
  • フェアトレードと呼ばれる公正な貿易によって適正価格で輸入されたバナナやコーヒー、チョコレート、紅茶などを購入する
  • オーガニックコットンで作られた洋服を着る

 ひとつでも当てはまれば、それは皆さんがそれと気付かずに実践されているエシカルな消費行動です。