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【エシカル・コンシェルジュ名鑑】
#23 モノが循環する暮らし、モノを大切にする暮らし
「REUSE & ETHICAL STORE KURASiKA」を営む
\ 大倉岳さん&大倉美和さん/
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「エシカル・コンシェルジュ名鑑」では、日本全国・世界各国にいるエシカル・コンシェルジュを紹介します。講座を受講したきっかけや、職種、興味のある分野は人によって様々です。どんな仲間がいるのか、どんな活動をしているのかぜひ参考にしてください。
第23回目は、13期修了生の大倉岳さんと大倉美和さんです。ご夫婦でエシカル・コンシェルジュ講座を受講し、積極的にアウトプット会にも参加するなど、とても仲良しなお二人。講座受講後は共通言語が増えて、日々の生活が180度変わったそうです。お二人が営む、地域に根ざした持続可能な暮らしを提案するお店「KURASiKA(クラシカ)」についてもお話を伺いました。
::プロフィール::
REUSE & ETHICAL STORE KURASiKA(クラシカ)左:大倉岳、右:大倉美和
2005年、大分県佐伯市で子ども服・用品のリユース店を開業。エシカルコンシェルジュ講座(13期)を受講後、2024年に「REUSE & ETHICAL STORE KURASiKA」としてリニューアル。子ども服・大人服のリユースに加え、フェアトレードやオーガニック製品などエシカルな雑貨・食品を扱い、地域に根ざした持続可能な暮らしを提案しています。
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おすすめエシカル
【生産者】
佐伯養鶏:平飼い卵の生産者さんです。佐伯市内で養鶏されており、我が家でも毎週直接届けてもらっています。卵を使った素朴な味わいのお菓子などもとてもおいしいです。
【店】
スローカフェ 茶蔵:お店の近所にあるオーガニックカフェです。オーガニック&ローカル素材の玄米プレートや、気軽に食べられるテイクアウトの玄米おむすびもお気に入りです。
「毎日あったら良いな」から生まれたリユースショップ
岳さん(以下:岳):私は大分県佐伯市で2005年に子ども服・子ども用品のリユースショップ「SMILE KIDS(スマイルキッズ)」を創業しました。
お店を始めたきっかけは、子どもが生まれた助産院主催のフリーマーケットでした。子どもが生まれたばかりの頃に何度か行った時はママたちが4,5人集まって出店するくらいの小さな規模でしたが、それから5年ほど経ってから訪れると、何十人も出店者が集まりお客さんで賑わう大規模なフリーマーケットになっていました。
その様子を見て「凄く良いな」と思ったと同時に、フリーマーケットだと1日で終わってしまうものがほとんどで「もったいないな」、こういう場が毎日あったら良いのにと思いました。色々調べると、子ども服、子ども用品、リユースショップという業態に辿り着き、色々検討した結果、自分たちでお店をやってみることにしました。
昨年の2024年12月にリニューアルし、現在は大人服や日々の生活、贈り物にも使える選りすぐりの雑貨を販売するリユース&エシカルストア「KURASiKA」として営業しています。
美和さん(以下:美和):私はアパレルショップや雑貨店で店長を務めた後、地元の佐伯市に帰ったタイミングで夫に会い、一緒にお店に立つようになりました。10年ほど前から真鍮のブランド「empreinte_(アンプラント)」 を立ち上げて、現在はKURASiKAでの販売や、委託販売、イベント出店などをしています。Empreinte_はシンプルで普段使いできて長く愛用できるものをコンセプトに作品を作っています。

Empreinte_の作品
夫婦でエシカル・コンシェルジュ講座を受講
岳:お店のリニューアルを考えていた時に、リニューアルするならエシカルなお店にしたいと思っていました。そこでSDGsやエシカルを学び直そうと妻と話していて、色々調べる中で、最終的にエシカル協会のHPに辿り着きました。
エシカル・コンシェルジュ講座は、しっかりとテーマがあり内容が分かりやすかったことと、講師陣のラインアップ(特に経済思想家の斎藤幸平さんがいたこと)が決め手となり受講しようと思いました。
美和:学生時代や社会人時代にも、環境問題の危機感をひしひしと感じていましたが、何もできずに過ごしてきたことにモヤモヤしていました。「講座を受けたらモヤモヤが解決できるかもしれない」とテンションが上がり、私も受講したいと思いました。
岳:二人で講座を受けるにはどうしたら良いか協会に問い合わせたところ、コンシェルジュを名乗るなら、それぞれに受講が必要と言われました。受講料のこともあり一瞬迷いましたが、お店に立つ上で二人とも同じ知識がある方が良いし、お互いに同じ理解があると話がしやすいと思ったので、夫婦で受講を決めました。
昔から妻は環境問題に、私はリユースや子どもの問題などに関心があり、興味のある分野はそれぞれでしたが、講座で包括的に学んだことで、全部繋がっていることが分かりました。お互いの興味のある分野にも理解が深まり、共通言語も増えたと思います。
講座自体はオンラインで別々のタイミングで受講することが多かったですが、視聴後に感想を言い合える相手がすぐそばにいることはとても有意義でした。
180度変わった日頃の生活や、動物や食べ物に対しての見方
岳:印象に残っている講座は、二人とも一致していて、NPO法人アニマルライツセンター代表理事 岡田千尋さんの「地球を分け合う動物たちに配慮する2つの方法 」です。
講座の中でお話しされていた「犬畜生」のように動物を獸のように扱う考えがあるから「戦争する時も人を殺せる」という例え話はとても衝撃的で、全く考えもしなかったことだったのでとても気づかされました。
美和:受講後は日頃の生活や、動物や食べ物に対しての見方も180度変わりました。
岳:具体的には牛肉はほとんど買わなくなりました。鶏や豚肉も、近所のイオン系列のスーパーで海外産のお肉が増えてきているので国産以外のお肉を積極的に選んだり、最適な鶏種や飼料、飼育環境を選び抜いて育てられた「みつせ鶏」を購入したりしています。
美和:卵は、市内で平飼い卵を育てている佐伯養鶏さんにお願いして週一で宅配してもらっています。生産者さんの顔が見えるので、罪悪感やストレスなく安心して食べることができます。

佐伯養鶏さんの平飼い卵
美和:全部の講座が良かったので、どれか一つに選ぶのは本当に難しいですが、ジャーナリスト 井出瑠美さんの「食品ロスって何で減らす必要があるの?」の回もとても印象的でした。講座で教えてもらった生ごみ処理機の「キエーロ」について、色々調べていたら、キエーロ考案者の松本信夫さんに辿り着き、キエーロオフィシャル認定アドバイザー講座を修了しました。
佐伯市では家庭用生ごみ処理容器の購入費用の75%(2025年7月現在)が補助されます。100%補助金が支給される期間もあったようで、キエーロを持っているけど使ってないという人の話も聞きました。もったいないので、そういう方にも私がきちんとキエーロの魅力を伝えられたら良いなと思っています。今は実際にキエーロを使って、大半の人がネックとなる虫が湧かないポイントを探りながら実験中です。

自宅のキエーロ
エシカル協会の講座料はリーズナブル!?
美和:講座を受講後は、社会に対して色々と考えるようになりました。例えば、受講前は恥ずかしながら時間がないを口実にして選挙は候補者のうわべだけを見て投票していました。でも受講後はしっかりと立候補者が何を考えているか目を通してから選挙に行くようになりました。
何か一つでも他人事にしてしまうと関係ないという感覚になってしまうので、自分だったら……と全部「自分ごと」として捉えるようになりました。それはとてもありがたいことです。
それから、講座受講中にはアウトプット会(13期は全講座後に毎回開催)にも夫と参加しましたが、参加されている様々な方の、学ぶ姿勢や感想に触れて、とても勉強になりました。私はあまり発言できる方ではないですが、普段は絶対に出会えない&話せないような人ばかりが参加していて、受講料以上のものがあったと思っています。
例えば本を買ったとして、「その著者に直接話を聞こうと思ったら、その本の金額では聞けないよ」と夫にもよく言われます。講座も同じで、渡航費や色々な雑費を考えたらエシカル協会の講座料はリーズナブルだと思います。
岳:私は受講後、影響をしっかり考えるようになりました。スーパーでは選ぶものが変わったり、フードロスをレスキューしたり、日々の買い物や生活を意識するようになりました。妻と共通の知識があるので、何をするにも話がしやすいのもとてもありがたいです。
13期を修了した後、14期の講座も単発で受けて、15期も現在全講座受講中です。末吉さんのエシカルの基礎を学ぶ回を一つとっても13期と14期を比べると講座内容がアップデートされていたので、自身の知識もアップデートしていきたいという思いで受講し続けています。
15期では末吉さんの「これからの時代に必要なエシカルという”ものさし”」の回や、お笑い芸人兼ごみ清掃員 滝沢 秀一さんの「いつかゴミを捨てられなくなる日がやってくる?日本のゴミから見えてきた別の問題」 の回でも「リユース」の話が増えていて個人的には嬉しかったです。
くらし、かるく、かろやかに 続けてもらえる値段を意識
岳:クラシカは「くらし、かるく、かろやかに 暮らしをかるく 暮らしから、もっと良い未来へ」そんな想いを込めて名付けました。「捨てなくて良かった」「誰かに使ってもらえたら嬉しい」そんな言葉に支えられて、今があります。
リニューアル前は子どものお店だったので、自分には関係ないという方も多かったですが、リニューアル後は、大人服やエシカルな雑貨も揃えるようになり、これまでと違う客層の方も来店してくれるようになりました。
エシカルな雑貨目的で来る方もいて、環境に関心のある人が意外に周りにいたと感じています。私としてはリユース商品もエシカルな商品の一環という気持ちでお店をやっていましたが、やはりリユースショップは「安いから買いに行く」という方が多かったように思います。
現在は、雑貨のエシカルな背景をお客さんに説明すると、共感してくれる方も多く、お話しするのが楽しいです。お客さん側も実は同じなのかもしれません。今まで周りには話せなかったけど、エシカルな雑貨を売っているお店の人になら話しても大丈夫という安心感から、お話をしに来る人もいるような気がしています。
リニューアル前に来てくれていた方も、新しいエシカルな雑貨を見て、「私も実はこういうのに興味があったの」と話を聞くきっかけになったりして嬉しいです。中にはとても知識のある方もいたりして、とても勉強になっています。
エシカル雑貨は、環境に負荷のかからない洗剤や、セルロースやヘチマなどの自然に還る食器洗い用のスポンジ、ピープルツリーのハンカチや鍋つかみ、コーヒーやチョコレート、ようかんなどを揃えています。

お取り扱い商品の一部
洗剤は、「洗濯で海を汚す時代を終わらせる」をコンセプトに、愛知県でクリーニング・コインランドリー屋を展開するSave the Oceanが開発した「海をまもる洗剤」を販売、量り売りをしています。こちらは実際に勝川ランドリーのクリーニング工場とコインランドリーで使用されていて、洗浄力にも安心感があり、実際に使ってみて良かったので取り扱いを決めました。
色々な洗剤を検討しましたが、値段が一番手頃だったことも大きな決め手です。これは洗剤に限らず、雑貨もそうですが、やはり良いものでも値段が高いとなかなか続けられないので、続けてもらえる値段を意識して品揃えをしています。

海をまもる洗剤の量り売りの様子
リユースとエシカルを通じて、多くの方に喜んでいただけるようなお店作りを
美和:エシカルというワードはメディアでも取り上げられて、普通のことになりつつあると思いながらも、まだまだ敷居が高いとも感じます。今後はお店をもっと知ってもらえるような努力をして、学んだことをアウトプットするような場を作れたら良いなと思っています。
岳:それから、妻がキエーロオフィシャル認定アドバイザーとなったので、今後はキエーロの普及にも努めていきたいと思っています。
また、私たちの通勤路には途中、田んぼがあって農業はとても身近な存在です。農家さんは全国的に見ても高齢化が進んでいますし、いつまで続けられるのか心配です。有機野菜をずっと作ってきた方からも収穫の時に人が足りなくて処分になったり、売るのが大変だったりなど、色々課題があると聞きます。

通勤路の田んぼの様子
まだどういう形で関われるかは分かりませんが、販売はお店でも協力できそうだなと思いますし、農の分野でも何かできたら良いなと思っています。
先日、15期のSHO Farmさんの環境再生型農業の講座についてFacebookに投稿したら、地元の知り合いの方が「自然農の米作りをやっているので良かったら見に来て」と声をかけてくれました。まずは田植えの見学に行ってみて、もし可能なら収穫までお手伝いできたらと考えています。
モノが循環する暮らし、モノを大切にする暮らしは、きっと、人に、自然に、社会に、私たち皆んなに、優しい暮らしだと考えています。今後も様々な分野にも目を向けつつ、リユースとエシカルを通じて、多くの方に喜んでいただけるようなお店作りに励んでいきたいと思います。

店内の様子(リユースコーナー)

店内の様子(エシカル雑貨コーナー)
文:大信田千尋(一般社団法人エシカル協会)
2025/7/31