INTERVIEW

株式会社the continue.

備前焼が作られる過程で傷などが入ってしまい、10%以上がやむなく廃棄される… そんな陶器ごみの問題に真剣に向き合い、「陶器はリサイクルできる」と業界を巻き込んで活動を進めている株式会社the continue.をご紹介いたします。

RI-COは、「一杯のコーヒーからやさしさを考える」を

コンセプトにしたリサイクル陶器ブランドです。

株式会社the continue.は、2021年1月に設立しました。代表の牧は、伝統工芸備前焼の故郷、岡山県備前市のれんが工場で働いています。廃棄れんがは原料として再生しています。やきものは土に還らず、資源はやがて枯渇する恐れがあるからです。

備前焼は良質な粘土が減少している一方で、10%以上が廃棄品になっていることを知りました。それらは海や山の処分場に埋め立てられていたのです。

埋め立てるしかないことへの違和感と「なんだか悲しい」という素直な気持ちから、陶器ごみを持ち帰り、試行錯誤を重ねた結果、再生素材ならではの魅力に出会いました。これが私たちの始まりでした。

Recycling Inspiration Continue 0waste の頭文字をとって、

このプロジェクトブランドを「RI-CO」と名付けました。

備前焼は約1000年の歴史を持ち、伝統技法のルールが厳しい産地です。私たちの取組みは受け入れられないかも、と心配していました。「陶器ごみ回収ボックスを作り、回収したい」と、産地の作家さんに相談したところ、産地組合をあげて協力、多くの陶器ごみをボックスに投入していただきました。回収場所で待っていると「僕らも捨てるのはつらい、助かるよ。」と言って下さいました。受け入れられない不安を抱えていたので、予想外の温かい言葉に胸が熱くなったことを覚えています。

今後の予定

―商品化して知ってもらう
備前の土には、コーヒーの味わいを変化させるという不思議な効果があるため「一杯のコーヒーからやさしさを考える」をテーマに#再生備前シリーズを作りました。これからテストマーケティングを行うところで、2021年7月から8月にかけて、クラウドファンディングや協力先でのテスト販売を行う予定です。

―産地を広げ、発信する
陶器は様々な産地があり、それぞれで陶器ごみの問題は存在しています。例えば、岐阜県美濃地方では、以前から陶器リサイクル活動をしていますが、一部の人にしか知られていません。RI-COもこの活動に参加することで、産地ごとではなく、業界として一緒に活動を進めています。地域メディアや座談会でお話させていただく機会も出てきたので、これから「陶器はリサイクルできる」という発信を始めていきます。

―この活動が必要なくなる世界を。
陶器をリサイクルする技術は、やきもの界にとって難しいことではないと感じています。必要なことは、作る、伝える、使う人々が「陶器ごみをなくそう」という意識。意識ひとつで、陶器ごみは資源に変わることができます。世界中で陶器ごみがリサイクルされれば、私たちの活動は不要になるかも知れませんが、そんな世界になることが目標です。

RI-CO#再生備前シリーズ

備前焼の陶器ごみを活用したシリーズです。コーヒーの味わい変化という不思議な機能をもち、手触りなどの五感でやさしさを体験できます。多いものでは再生素材を65%以上使用し、いずれも再度リサイクルすることができます。

「やさしさ」と「リサイクル素材の魅力」にこだわり、工芸品とも量産品とも違った魅力を“リサイクル然”としたデザインで表現しています。地域や資源を思いやり、捨ててしまうモノのことを考える。手に取った人の心に、そんな“やさしさ”が宿るプロダクトでありたいと思っています。

例えばコーヒー器具の市場は好調、最近は環境配慮ペーパーや布製フィルターなども増えて、「環境に配慮したコーヒータイム」が作りやすい環境が生まれつつありますが、全体としてはほんの一部です。

RI-COを始めて、エシカルな発想の商品も、販売する場所も、とても限られているということを知りました。

影響を大きくするためには、未来へのやさしさを持つ商品や売り場がもっと拡大することが必要だと感じています。

会社名:株式会社the continue.
会社HP:https://the-continue.com/