ラスベガス在住の川田祥世さんのレポートをお届けします。アメリカの先住民・ナバホ族の“iina”という言葉。あなたはどのように感じるでしょうか。

私の住むラスベガスは言わずと知れたカジノの街。観光客も戻ってきており、ハロウィンからクリスマスまで続く「一年で一番電気と物を消費するシーズン」が到来しています。ホリデーは心踊るものですが、「こんなに消費しまくって大丈夫?」と思うのも正直なところ。まずは「自分で工夫できることから始めよう!」ということで、家の装飾はソーラー電池仕様のライトを使い、クリスマスギフトは友達に教えてもらった「先住民のブランド(Indigenous owned brand)」から選ぼうと考えています。

先住民といえば、今年10月11日にバイデン大統領が「先住民の日(Indigenous People’s Day)」を認めたことがニュースになりました。10月第2月曜日はアメリカ大陸発見を記念する祝日「コロンブス・デー」ですが、そもそもその日は先住民の人々からすると迫害の歴史のはじまり。アラスカやアリゾナなど先住民が多く住まう州で祝日に反対する声が大きくなり、名前を変える動きが活発になっていました。そこで今年、ようやく大統領がその事実に言及したこともあり、SNS上でも#indigenouspeopleが大いに盛り上がりを見せたのです。

さて、先住民のブランドと一言にいっても、米国内だけで574の部族がおり、文化も言語も様々ですから、伝統柄を使用したアパレル、メディスンマンの知識を活かしたハーブのコスメやソープ、伝統工芸であるジュエリーや陶器などその商品は多岐に及びます。
私の友達もナバホ族出身で、初めて彼女の家族が作るジュエリーを目にした時、あまりの美しさに息を飲みました。聞くと、この技術は部族内で代々受け継がれるもので、どこかで教われるものではないとのこと。彼らにとって、ものづくりは生きることそのものなのです。

ちなみにナバホ語で人生(Life)を指す言葉は“iina”と言いますが、これは「聖なる人々から与えられたもの」であると同時に「自分が受け取ると選択してはじまったもの」なのだとか。興味深いことに、“iina”という言葉には元から「選択 (Choice)」と「行動 (Movement / Action)」の意味が込められているのです。それを聞いた時、何かエシカル消費の考え方と通じるものを感じました。
エシカルな暮らしも、自分と社会や、環境や、未来への影響をしっかり考えて選択し、行動することからはじまります。先住民の人々の伝統や知恵を尊敬し、そこから学び、日々の暮らしに取り入れることもまた、私たちのエシカルな暮らしをより豊かにしてくれるような気がしています。