拡大生産者責任という考え方、ご存じでしょうか?スウェーデンでの事例をまじえて、分かりやすくリンドウォールあずささんからお話を伺いました。

こんにちは、スウェーデン南部に位置するルンド大学の修士課程で環境経営と政策を学んでいるリンドウォールあずさです。

環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの活躍もあり、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、スウェーデンは、世界のサステナビリティ先進国として知られています。実際、米コロンビア大学とイエール大学が発表する環境パフォーマンス指数[1]では10年以上世界トップ10にランクインする実績を誇っています(直近では5位)[2]。

私自身、スウェーデンで普段生活するあらゆる場面で、この国の高い環境意識を感じています。スーパーではエコラベルのついていない商品の方が少数ですし、また、ヴィーガン商品の品揃えも豊富です。スウェーデンでは、ベジタリアン・ヴィーガンの割合も高く、2020年にベジタリアンまたはヴィーガンを答えた人は12%にものぼるそう[3]。

植物性代替肉でつくったミートボールやウィンナー


[1] EPI: Environmental Performance Index

[2] https://epi.envirocenter.yale.edu/epi-country-report/SWE

[3] Ipsos https://www.orkla.fi/app/uploads/sites/12/2020/11/Orkla-Sustainable-Life-Barometer-2020-Main-Report.pdf#page=41 肉類・魚類の消費を減らすフレキシタリアンや肉は食べないが魚は食べるペスカタリアンも合わせると21%


そんなスウェーデンについてご紹介したいことはたくさんあるのですが、今回はその中でも少しユニークな「リサイクルパッケージのデポシット&リファンドシステム」についてお話ししたいと思います。

これは、お店でペットボトルやアルミニウム缶の飲み物を買うと、商品の値段にパッケージのリサイクル費用分がデポジットとして含まれており、使用済みパッケージをお店に設置されているマシン(写真)に返却することで、同額が返金されるという仕組みです。

パッケージ種類 デポジット料金
(SEK: スウェーデンクローナ)
*1SEK=約13円
アルミニウム缶 1.00
ペットボトル(1L以下) 1.00
ペットボトル(1.5-2L) 2.00

お店に設置されている返却マシン例。購入した店舗にかかわらず、どの店舗でも返却できる。現金での返金、または植林活動への募金も選択可能。

これだけですと、日本で自治体が行っているリサイクルと変わらないのでは?と思いますが、このシステムの特徴は、拡大生産者責任(EPR: Extended Producer Responsibility)という考え方に基づき、政府や自治体ではなく、すべての費用と運用を商品の生産者[4] およびリテール店が担っているという点です。

EPRは1990年にスウェーデンのトマス・リンクヴィスト博士(実は私の所属している研究所の教授です!)が提唱した「製品に対する製造から廃棄処理までの製品ライフサイクルを通した物理的・経済的責任を自治体から生産者に移転する」という考えで、廃棄まで生産者に責任を持たせることで、生産者が製品設計の段階で廃棄段階における環境配慮を取り込むようインセンティブを働かせるという狙いがあります(パッケージを減らす、よりリサイクルしやすい素材を採用するなど)。この考え方は多くの廃棄物に関するEU法にも採用され、今や欧州環境政策の基本概念となっています [5]

このように、スウェーデンおよびEUでは、製品ライフサイクルで企業に責任を持たせる、また、政府・自治体主導ではなく、いかに経済的インセンティブを働かせて環境配慮の取り組みを民間主導で進めるか、という工夫がよく見られます。


[4] パッケージ製造業者、醸造所・飲料メーカー等

[5] The Waste Framework Directive (2008/98/EC)、WEEE Directive (Directive2012/19/EU)など


日本でも民間企業に対してよりエシカルな企業活動を求める動きが少しずつ広がっていますが、スウェーデンで生活し、また環境について学ぶ中で、消費者・有権者として、この動きをより強く後押ししていきたいなと日々感じています。

【プロフィール】

リンドウォールあずさ