エシカル・コンシェルジュの狩野さんから、ペット業界や商品開発のストーリーを伺いました。私たち一人ひとりが、一歩一歩できることがある、と勇気づけられます!

皆さんはペットを飼っていますか?
私達の生活スタイルがどのような事に影響があるのか、一言でまとめることはできませんが、ペットと共に暮らしている方は、きっとこれからもペットに元気で長生きしてほしい。ペットと過ごすこれから先の未来も穏やかで楽しく幸せでありたいと、どこかで思っているのではないでしょうか。

そう願う一人として私、狩野藍李(かのうあいり・11期生)は勤めている会社のペットフード・ペット用品のエシカル自社ブランド「Hoippo(ホイッポ)」の立ち上げに関わっています。

日本のペット業界は価格競争の非常に激しい業界の一つです。「エシカルは高くて売れない」「現実的じゃない」、つい最近も聞こえてきました。
でも皆さん、エシカルなペット用品、どんなものがあるかパッと頭に思い浮かびますか?
取り組む前から半ば匙を投げている、というのが今ペット業界大手に抱いている私の正直な印象です。

>ペットを飼う一飼い主として思っていたこと

私の勤めている会社はペット用品の輸出入を行う商社18年目になります。常に海外と関わりのある私達から見て、海外市場もペット業界の環境配慮への動きは数年前から既に進んでいる印象です。
そして現在の会社に勤めるまで一飼い主としてずっと感じていたこと、センスのあるデザインも、エシカルな商品も、原材料で買ってみたいなと思うものは海外のブランド、サイトばかり。日本のペット業界は男社会なのかなと感じていました。

>新ブランドのファーストステップ、第一弾は

今回新ブランド立ち上げが決まり、コンセプトの大前提として環境への配慮を考えました。そしてそれは私達だけではなく、日本のペット業界にエシカルの風を吹かせること。第一歩は「エシカルなペット用品・ペットフード、あるよ!出来るよ!」と存在を知ってもらうことでした。

最初に取り組んだ商品は、特に大量生産・大量廃棄の多い“ペットシーツ”。日本で環境に配慮したペットシーツを探して見つかるのは、何度も洗うタイプのペットシーツでした。勿論ゴミを捨てるより良い選択ではありますが、使い捨てに慣れている人がいきなり洗うタイプを選ぶこと、それはきっと限定的ですよね。そもそもペットシーツに環境負荷が大きいと考える理由はまず原料にあると思い、世界中の情報をリサーチ開始。そして植物由来原料の可能性、海外の製造してくれる工場を見つけ、試作を重ねた末今年4月“植物由来ペットシーツ”の発売が開始されます。

>あたらしい商品への壁

ものづくりには必ず壁がつきものだと思います。植物由来ペットシーツを発表するまで、私達が最初に当たった壁は日本の原料、そして日本国内で作ること、でした。国内で製造すれば輸送時のCO2排出量削減ができ、地産地消そして今後海外へ輸出することは日本産として国内の活性化にも繋がる。そして先にお伝えすると、この壁は今も乗り越えられていません。

国内メーカー全てにコンタクトを取り「原料さえあれば」と一社ご協力いただくことが出来ましたが、機械への規格が非常に限定的で「あれは、これは」と環境に配慮した素材の提案を数ヶ月間続けるも「厚すぎる」「巻きが少ない」「コスト」等理由は様々ですが全て使用不可。「現実的じゃない」と非常に高い壁が立ちはだかりました。

そんなやりとりを数ヶ月続けたのち、私は国内での製造を一旦見直し海外での製造を視野にコンタクトを開始します。

するとあっさり植物由来の原料使用可能、やってみましょう!と。この数ヶ月間はいったい、と拍子抜けをしました。(日本、もっと頑張らないと、、!)それから試作、発売までのスピード感は非常に早かったと思います。

勿論海外ならではの洗礼も受けました(笑)納期が大幅に遅れ展示会に間に合わない!届いたら色が違う!国内では中々起こり得ない事が続き、常に神経を張っていたと思います。

そしてそんな私達の第一弾、植物由来のペットシーツが誕生しました。

いつかHoippo(ホイッポ)のペットシーツや猫砂が日本製で発売された際は「このブランド、こんなストーリーもあったんだよなぁ」と笑ってください。

>商品開発の裏側に感じたこと

どの商品にもそれぞれストーリーがあり、「前例がない」と連絡が途絶えた事もあります(笑)消費者には知り得ない裏側も良い話だけではありません。「そこは表示義務がないので、そんなに気にしなくても」と言われる事や、例えば一部ヒューマングレードの原料を使用しただけで商品全てがそうだと思わせるような、言葉遊びがあると感じています。製造工場が「違う」と認識していても、企業が「そう」だと勝手に表示することもあり、「こういう商品だと思って購入するだろうな」と、それは正直一部の商品ともいえない気がしています。勿論とても良い商品やブランド、私も学ばせていただいている裏側もあります。私個人の呟きとして聞いていただけたら。

>最後に

私は、元々エシカルを意識して過ごしてきた人間ではありません。最近知ったことも多く、私自身皆さんに何か伝えられる言葉はあるのかと、今回レポートの機会をいただくにあたり考えていました。

それでも、地球という一つの船で生きている以上、何が起こっているのかを知ることはとても大切であり、そして知った以上知らんぷりをして日々過ごすことは出来ませんよね。

幸いな事に私たちは選ぶことが出来ます。その選ぶという選択肢が、どんな事においても循環を生み出します。今回はブランド立ち上げ、商品開発について一部お話をさせていただきましたが、企業において出来ることはもっと沢山あります。

沢山の情報が行き交い、物に溢れ、捨てることに慣れた環境では、自分一人の行動に意味はあるのかとエシカルに疲れや孤独を感じている方もいるかもしれません。それでも一歩進んだ先にはより良い一歩があると信じて。Hoippo(ホイッポ=歩一歩)というブランドと、一歩一歩進みながらそこに関わる人がいるのだと、今回はそんな話を皆さんに知っていただけたら嬉しいです。

【Hoippo公式インスタ】
https://www.instagram.com/hoippo.love/