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【エシカル・コンシェルジュ名鑑】

#6 ヴィーガンレシピを発信している

\ 飯田美夏子さん /

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「エシカル・コンシェルジュ名鑑」では、日本全国・世界各国にいるエシカル・コンシェルジュを紹介します。講座を受講したきっかけや、職種、興味のある分野は人によって様々です。どんな仲間がいるのか、どんな活動をしているのかぜひ参考にしてください。

第6回目は、2019年春修了生の飯田美夏子さんです。料理が苦手な方や時間がない方でも簡単にできるヴィーガンレシピを発信している飯田さん。ヴィーガン食と家族との向き合い方や、レシピとセットで投稿しているというヴィーガンやエシカルのマインドについてもお話を伺いました。

::Profile ::

飯田美夏子
1976年生まれ、家族4人+保護猫と暮らす主婦。2018年頃からヴィーガン食の選択を始める。現在は、まだまだ認知度が低いヴィーガン食を広めるため、誰でも簡単にできるヴィーガンレシピを中心に、エシカルを選択する上での悩みなどをSNSで発信中。普段は、動物性原料を使わないヴィーガンサロンを自宅で営み、女性のあらゆる不調などの改善のお手伝いや癒しを提供している。
> Instagram

おすすめエシカル
【お店】matoi:自然豊かな公園近くにあるオーガニック&ヴィーガンパン屋さん。まるで隠れ家のような雰囲気が落ち着く店内には、季節の素材を使った限定パンや、安心素材で定番の塩パン、クロワッサンなどが並んでいます。とても美味しくてお気に入りです。

:: Profile ::

飯田美夏子
1976年生まれ、家族4人+保護猫と暮らす主婦。2018年頃からヴィーガン食の選択を始める。現在は、まだまだ認知度が低いヴィーガン食を広めるため、誰でも簡単にできるヴィーガンレシピを中心に、エシカルを選択する上での悩みなどをSNSで発信中。普段は、動物性原料を使わないヴィーガンサロンを自宅で営み、女性のあらゆる不調などの改善のお手伝いや癒しを提供している。

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おすすめエシカル
【お店】matoi:自然豊かな公園近くにあるオーガニック&ヴィーガンパン屋さん。まるで隠れ家のような雰囲気が落ち着く店内には、季節の素材を使った限定パンや、安心素材で定番の塩パン、クロワッサンなどが並んでいます。とても美味しくてお気に入りです。

エシカルな暮らしLAB:有楽町マルイ内にある国内最大級のエシカルブランド数を誇るお店。日用品や食品、コスメなど各メーカーの自信作やこだわりが詰まったものが集結しています。私はCACTUS TOKYOのサボテン由来レザーのお財布がとってもお気に入りで愛用中です。

ヴィーガン食に興味を持ったきっかけ


私は2018年頃からヴィーガン食を選択しています。きっかけは、アニマルライツセンターのHPをたまたま見つけて、現代の畜産のあり方や扱い、人間に利用される動物たちの現状を知ったことです。

その後に、菜食が環境や健康にも優しいということを知り、更に魅力を感じます。そのうちにエシカルという言葉に辿り着き、エシカル協会を知りました。

そして、エシカル・コンシェルジュ講座のラインアップに、ヴィーガン食を選択するきっかけになったアニマルライツセンター代表理事の岡田千尋さんの講座があったことで、すぐにピンと来ました。他にも、様々な分野の専門家の方々が勢揃いしていたので、これは色々知れるのではないかと思い講座を受講しました。

人は知ることで変われる


エシカル・コンシェルジュ講座で一番印象に残った講座は、やはり岡田千尋さんの「エシカル消費と動物への配慮とは」の回です。岡田さんのお話は、アニマルライツセンター主催の会で既に聞いたことがありましたが、その時参加している方たちは動物の分野に興味がある方たちばかりだったので、他の分野に興味のある方たちが集まる場所でのお話に興味がありました。

講座の中では、そこまで残酷な映像は流れませんでしたが、それでも目を覆ったり涙ぐんだりしている人がいて、受講者の方の反応や表情が他の講座とは異なっていたことがとても印象的でした。畜産の現状についてまったく知らなかった方や、少し知っていたけれど詳しく踏み込むことがなかった方の、そのような様子を見て、人は知ることで変われると感じました。

そして、私も伝えていかなくてはという原動力が沸き起こりました。

ヴィーガン食と家族との向き合い方


多くの人がライフスタイルの中で実践しやすいエシカルは、エコボトルやマイバックなどを持ち歩くことだと思いますが、ヴィーガン食となると一気にハードルが上がるようです。仕事の付き合いがあったり、給食に入っていたり、今まで当たり前に食べていた肉を減らす選択は、誰もがすぐにできることではないと私も感じます。

私の家族は、私がヴィーガン食を選択していることに対しては何も言いませんが、夫はお肉が大好きです。我が子たちは、家では私が作るヴィーガン食を食べますが、外食では動物性のものも食べますし、学校の給食は皆と同じものを食べています。普段からヴィーガンの話をしているので、抵抗はないようですが、強制はしていません。

家族の食事で私が買い物をするものに関しては、お肉は放牧のものを、卵は平飼いのものを、牛乳や牛肉は買いませんが、出来る限りのエシカルな選択をしています。夫がどうしても牛肉が食べたい時は、自分で買って調理しています(笑)。

私がヴィーガンをゴリ押ししても、夫は良く思わないですし、お互いの正しさ対決になってしまうので、今は個々の選択に委ねています。子供たちには、大きくなって自分が良いと思う選択をして欲しいと思っています。

ヴィーガンレシピの発信


ヴィーガンを広めるために何かしたいと始めたのがInstagramの発信です。なぜヴィーガンを選択しているのか知ってもらうには、残酷な映像を見てもらうのが手っ取り早いですが、人によって響く人もいれば、逆効果だったりします。

畜産が環境に悪いという事実だけを伝えても、実践の仕方が分からないと行動に移せないので、見てくれた方が日常の中で簡単に取り入れてもらえるものが良いなと思いました。そこで、日々の生活の中で私には何が発信できるか考えて思いついたのが「食事」でした。

最初は家で作った食事をただ日記のように載せていただけでしたが、発信するならレシピも載せた方が良いと友人にアドバイスをもらい、しばらくしてからレシピも投稿しはじめました。

ヴィーガンというと、お洒落で映えというイメージを持たれている方が多く、そこにハードルが高いと感じている方もいるかもしれませんが、私のレシピは「映え」ではありません。私自身が凝ったものは作れないですし、子供が小さくても、バタバタした日々の中でもできる簡単かつ馴染みのある定番メニューを中心に紹介しています。

オーガニックやフェアトレードも網羅しようとすると、またハードルが高くなってしまうので、私のレシピは、スーパーマーケットで簡単に手に入る素材で作るヴィーガン食に特化しています。最初のInstagramのフォロワーは300人くらいの友人メインのアカウントでしたが、徐々に増えていき、今では1万1千人もの方にフォローしていただいています。

左:家族に好評のレシピ おからと豆腐のナゲット
右:お気に入りのレシピ 肉なしヤンニョムチキン風

レシピとマインドはセットで


フォロワーが増えてからDMをもらうことも増えたのですが、家族と対立し、悩んでいる方がとても多いことを知りました。私自身、ヴィーガンを選択することで、夫とはケンカや対立することが、何度もありました。とても苦しい思いをしたので、気持ちがすごく分かります。

でも、その悩みを抱え込んで行動を諦めてしまうのはもったいないです。実践をする人たちの気持ちの負担を少しでも軽減したいと思い、レシピだけでなく、ヴィーガンやエシカルの「マインド」について実体験からの学びを投稿しています。

私も最初は譲れない部分が大きかったですが、いつからかそれを続けていてもしょうがないと妥協できるようになりました。妥協を許さないことでメンタルが崩壊してしまっては元も子もありません。最近は家族や周りから違う意見や考えなどを論されても、きっとお互いの正しさがあるのだろうと軽やかに流せるようになり、気持ちが楽になりました。

都合がいいように聞こえるかもしれませんが、「ボーダーラインを決めることが大切」だということが、今の生活をする上で辿り着いた私の考えです。

目標は無理のないエシカルを継続していくこと


ヴィーガンやベジタリアンは海外の食生活のイメージが強く、日本では選択が難しいと思われがちですが、その逆だと私は思っています。日本の主食の基本はお米を食べる文化で、豆類も多く手に入りますし、豆腐や油揚げなどの大豆製品や、昆布、海苔、乾物類なども豊富です。

ありがたいことに、味噌や醤油などの万能調味料もたくさんあり、四季折々の新鮮な野菜が手に入ることから、実は日本こそ世界で一番菜食を取り入れやすい国だと感じています。

私は普段、ヴィーガンサロンを運営していますが、いつかヴィーガン弁当を作ってイベントやマルシェに出店したり、古民家でヴィーガンカフェを営んだりしてみたいと夢を描いています。動物と触れ合いながら、地球にも動物にも優しい空間を作りたいです。

でも、新しいことをするのは凄くエネルギーが必要で、それを継続するのはもっと大変だと思います。自分にもエシカルでないとなかなか続かないので、次に新しくというよりは、まずは無理のないエシカルを継続しながら、その内容を伝えていくことが目標です。

これからも、料理が苦手な方や時間がない方でも簡単にできるヴィーガンレシピを発信して、未来を担う日本の子どもたちや、その親御さん世代にも菜食の魅力をたくさん伝えていきたいと思います。

反響の大きかったレシピ
左:
まるでカキフライ風
右:肉なし豆乳ごま味噌坦々麺

文:大信田千尋(一般社団法人 エシカル協会)
2023/12/28

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