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【エシカル・コンシェルジュ名鑑】

#7 環境保全を軸に自然の近くで好きな時間に働く

\ 山本亜沙美さん /

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「エシカル・コンシェルジュ名鑑」では、日本全国・世界各国にいるエシカル・コンシェルジュを紹介します。講座を受講したきっかけや、職種、興味のある分野は人によって様々です。どんな仲間がいるのか、どんな活動をしているのかぜひ参考にしてください。

第7回目は、9期修了生の山本亜沙美さんです。環境保全を軸にワーケーションというライフスタイルを送る山本さん。どのような経緯でそのような生き方を選択したのか、どのような活動をしているのか、じっくりお話を伺いました。

::Profile ::

山本亜沙美
大学時代に専攻していた海洋生物学をきっかけに、絶滅危惧種や環境保全活動に興味を持ち始める。国際環境NGOのWWFジャパン(以下、WWF)にて組織全体のコミュニケーションに携わった後、現在はフリーランスとして、主に環境やソーシャル領域の広報案件に幅広く関わっている。
> Instagram

おすすめエシカル
【グッズ】Little Hands Hawaii:サンゴに優しい日焼け止め。ダイバーということもあり、海の環境や地球温暖化の脅威に直面しているサンゴたちに、できるだけ負荷を与えないものを選ぶようにしています。

CARRY THE SUN®:ソーラー発電で電源がなくても明かりが確保でき、畳むとフラットになるのが便利で、非常用のライトとして持ち歩いています。プラスチックやソーラー電池を回収してリサイクルするプロジェクトも行っていて、エシカルポイントが高いです。

左:ミニサイズとスティックタイプのLittle Hands Hawaii
右:WWFのパンダショップのロゴ入りCARRY THE SUN®

:: Profile ::

山本亜沙美
大学時代に専攻していた海洋生物学をきっかけに、絶滅危惧種や環境保全活動に興味を持ち始める。国際環境NGOのWWFジャパン(以下、WWF)にて組織全体のコミュニケーションに携わった後、現在はフリーランスとして、主に環境やソーシャル領域の広報案件に幅広く関わっている。
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【グッズ】Little Hands Hawaii:サンゴに優しい日焼け止め。ダイバーということもあり、海の環境や地球温暖化の脅威に直面しているサンゴたちに、できるだけ負荷を与えないものを選ぶようにしています。

CARRY THE SUN®:ソーラー発電で電源がなくても明かりが確保でき、畳むとフラットになるのが便利で、非常用のライトとして持ち歩いています。プラスチックやソーラー電池を回収してリサイクルするプロジェクトも行っていて、エシカルポイントが高いです。

ミニサイズとスティックタイプのLittle Hands Hawaii

WWFのパンダショップのロゴ入りCARRY THE SUN®

学生時代に環境保全に関心を持ち、WWFに入局


私は昔から生き物が大好きで、動物の図鑑やテレビ番組などを楽しみに見ていました。高校生になってもその関心は続いていて、環境保全に関心を持ち始めたのも学生の頃です。大学は、当時大好きだったイルカなどの海洋哺乳類や海の生物など、海洋学が学べる大学に進学し、海水産物、漁業、海のことについて包括的に学びました。

そして、大学時代に行ったアメリカのフロリダ州のディズニーワールドでマナティに出会い、魅了され、色々調べているうちに絶滅危惧種だと知ります。他にも絶滅危惧種の動物がいることを知り、「このような動物がいなくなってしまうのは悲しい」、「将来はこのような動物を守れるような仕事に就きたい」という思いが強くなりました。

大学卒業後、しばらくは一般企業に勤めていましたが、2010年に学生時代からいつか働きたいと思っていた国際環境NGOのWWFで募集があり、入局しました。自然保護室のアシスタントを経て、2013年から広報を担当し、最終的にはメディアグループのグループ長としてWWFの情報発信のマネージメント業務をしていました。

2021年に入ると、「草の根で大事な活動をしている人たちが力をつけて元気に活躍していけるような世の中にしていきたい」、「そういう団体に自分の力を還元していきたい」という思いが生まれ、独立を決意します。現在は今までの経験や人脈を活かして、環境系のNGOなどの団体や、企業の中のCSR部門など、色々なところに携わっています。

2019年、WWFネットワーク全世界からコミュニケーション担当が集まるネットワーク会議@インドにて

エシカル・コンシェルジュ講座を受講したきっかけ


エシカル・コンシェルジュ講座は、仕事でご一緒したエシカル・コンシェルジュの方が「講座を受けたことが人生の転機になった」とSNSで発信しているのを見て知りました。

受講を決めたきっかけは、WWFを辞めた後、ちょうどプライベートや仕事でライフワークを模索していた時期だったので、環境保全という軸は揺るぐことなく、環境問題の分野を超えて学びたいと思っていたからです。

WWFは環境問題に特化していたので、勤めていた時は他の分野に関わる機会があまりありませんでした。環境問題自体は、経済やファイナンス、貧困、動物福祉など、他の分野にも間接的に繋がっているので、少し触れる機会はありましたが、断片的な知識になっていたので、総合的に学びを深めたいと思ったことも受講したきっかけです。

印象に残っている講座


動物福祉や人権問題については、あまり触れてこなかった分野だったので新たな学びの機会になりました。その中でも当時一番印象的だった講座は、第8回のEarth Company 共同創設者、共同代表の濱川明日香さんの「SDGsはゴールじゃない。目指すべきリジェネレティブな未来とは」の回です。

2020年のコロナ禍以前にも、“非常事態”と言われる飢餓や感染症、難民、紛争、気候危機などは、途上国の一部の地域では既に起きていましたが、世界全体ではそれを“非常事態”と認識していませんでした。

それがコロナ禍で、先進国が経済的にも大きな被害を被って世界が止まることになり、それを初めて世界全体で“非常事態”として認識し、対策に動き出すことになったという事実に大きなショックと気づきを与えられました。

「自分が置かれている状況を客観的に見た上で、様々な現状を個人レベルにまで落として共感し、心を動かすこと」、これは自身の仕事でも気をつけている部分だったので、とても気が引き締まるお話でした。

ワーケーションというライフスタイル


私は、独立したタイミングで、いわゆるワーケーション(ワークとバケーションを掛け合わせた造語)と言われるライフスタイルを実践してもう2年くらい経ちます。週末や、まとまった時間ができる時には大好きな海の近くへ移動して、自然のある場所で仕事をしたり、大好きなダイビングをしたりという生活です。

きっかけは、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響で身動きが取れなくなり、海外出張や旅行、ダイビングに行けず、とても辛い思いをしたことでした。リモートワークが可能になったことで、「働く場所も時間も、自由に生きる選択肢があっても良いのでは? 」という考えが生まれ、チャレンジしてみたいと思いました。

色々なリスクもある働き方なのであまりおすすめはできませんが、私が守りたいものは地球や生き物なので、その素晴らしさを再認識させてくれる場所に身を置くことは凄く大事なことだと思っています。

WWFが2年に一回発表しているリビングプラネットレポート(地球の健康診断のようなレポート)で、過去50年間で地球の豊かさが69%減少したという科学的なファクトがあります。このことから、これから先も地球環境が悪化していくことは容易に想像できます。このような予測があるからこそ、今、見られる地球の姿を自分の目でしっかり見ておきたいのです。

それから、自然の近くで過ごすと感性が研ぎ澄まされ、考え方をリフレッシュできます。今となっては私にとって必要不可欠な生き方です。

日本の最南端波照間島のビーチで仕事をしている様子

ダイビング中に水中で撮影した写真「西表島で出会ったサンゴ礁」(2021年12月の様子)
2022年の高水温の影響で現在は壊滅的な状況と聞いています

ぼんやりとわがままに幸せに生きていきたい


現在は、ソーシャルグッド専門のPR会社「ひとしずく」でPRマネージャーとして色々な案件に関わりながら、社会課題を表すグラフ(チャート)の形を活かしアート作品として表現するプロジェクト「chart project®」の理事として、自治体と連携しながらワークショップやイベントをしています。

その他には、1977年に設立された世界的な自然保護団体ジェーン・グドール インスティテュート(JGI)」の広報をサポートするなど、これまでの知見を還元しながらより良い社会に貢献していきたいという思いで活動しています。

仕事で喜びを感じる瞬間は、自分が関わったことで個人や団体、社会に1%でもポジティブな変化を生み出せた時です。未来の自分はあまりイメージできないですが、そのようなフィードバックを聞けた時はとても嬉しいですし、皆さんのそういう言葉が、この先の自分のアイデンティティを作っていくのかなと最近は思っていています。

そして、この先も変わらないとハッキリ言えることは、環境やサステナビリティ、ソーシャルグッドの領域に関わっていくということです。決まっていることはそれだけで、今は「わがままに幸せに生きていきたい」ということしか思い浮かびません。

自分がどんな状況に今後直面するのかは分からないので、先のことを考えて計画的に動くことよりも、今やるべきこと、今やっておきたいことを何よりも大事にしています。限られた時間の中だからこそ、これからも納得できる仕事と向き合っていきたいです。

奄美大島で出会ったアマミホシゾラフグ
オスがメスにアピールするため&産卵する場所を作るために、巨大な円形の幾何学模様を海底に作り上げている様子

ダイビング中に水中で撮影した写真「小笠原で出会ったウメイロモドキの群れ」

文:大信田千尋(一般社団法人 エシカル協会)
2024/1/29

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