INTERVIEW

株式会社クラハシ

1月21日付け日経新聞で福山大学と取り組むシロギスの養殖が紹介された広島の水産卸業のクラハシさん。魚市場連合会、漁協セミナー、大学等でエシカル消費は消費者ひとり一人が認識することが大切だと話されているというお話は我々にとって大変励みになります!

◆株式会社クラハシについて◆

㈱クラハシは1946年(昭和21年)、福山地方卸売市場内に魚問屋として創業しました。市場起点でありながらも鮮魚は取扱量の3割で、簡便性の時代に対応する商材ニーズに対応すべく、3分の2は商社機能となっております。2006年、創業から60年の節目に経営難を経験しましたが、多くの支援と社員の頑張りにより、無事経営再建を果たしました。

 

市場法の改正やGAFAを中心とした第四次産業革命の流れにより、市場自体の存続が危ぶまれる中、あらゆる地域からの集荷と、量販店を中心とした販売チャネルを構築し、更に昨年農水ファンドからの出資を経て、集荷力を高める政策や、育てる漁業である「養殖事業」の着手、スマート水産等を推進しながら、広島県備後地区を中心に、地域の人々に新鮮でバラエティ豊かな水産物、冷凍商品を届ける事業を展開しています。

◆SDG‘s「12番、14番」、そしてエシカルに着目した経緯◆

企業の競争原則は、実は「美味しいものに付加価値をつけて」ではなく、消費者が求めるものを作る為に「一定の品質を如何に安価に作るか」に重点が置かれています。これが、大量生産・大量消費を産出します。企業は消費者ニーズに沿わない物は「売れないので」作らず、結果、家畜や農産品を、自然の限界を超えて(工業製品の如く)製造しては廃棄物を増やしています。また、安価にする為に1億人を超える児童に「低賃金」の強制労働を課し、農地やマングローブ等は伐採され生態系に影響を与えるばかりか、多くの生物、人間に多大な被害が及ぶ事実を、エシカル協会代表 末吉里花さんのPODCASTのお話をお聞きしたことが「知った」切っ掛けです。

 

飽食の時代にあって、一方では年間数万人が飢餓難民として命を落とされています。養殖で考えますと、その餌の為に、漁獲された魚の5分の1が費やされています。ある意味飢餓状態にある方よりよい食べ物を、こうした餌として与えられている現実を冷静に考える必要に迫られました。

◆取り組み事項◆

 

SDG‘s 12番では、「つくる責任、つかう責任」がある様に、先ずはエシカル消費を消費者其々が認識する働き掛けが大切、との認識から、このテーマを魚市場連合会、漁協セミナー、大学等、機会を頂ける際に出来るだけお話しする様にしています。

 

また、「つくる責任」と「海の資源を守る」という観点から、2016年7月、沖縄に農水ファンドから出資を頂き、マグロ、ソデイカ等の効率集荷、付加価値販売を通じて6次産業化を支援する事業(マリンリンク株式会社)を展開し、サスティナブルな漁業を目指してエコラベル認定を受けました。また、広島県は島々が多く、その豊かな山から流れ込むミネラル豊富な海水で育った美味な魚が多いのですが、瀬戸内海は波長の短さ故に1メートル程度の波でも転覆の危険性がある事から、月の1/3は時化て漁に出られない為、漁の際は一斉漁獲と成り、魚価が安定しない上に、乱獲を助長するとも言われています。その為弊社では、三原市糸崎に「活魚の集荷場」としてマリンネクスト株式会社を設立し、魚を健康に保つ海水(広島県特許)を技術センターと共同研究しながら「元気に活かし」、「麻酔で元気に運ぶ」事業を展開しています。この活動を通じて、瀬戸内海の魚の需給調整を図り、魚価を安定させ、乱獲を防止する取り組みを推進しております。

◆今後の活動◆

これからは「養殖 育くむ漁業」の時代です。とは言え、飽和魚種ではなく、瀬戸内海のサスティナブルな環境を考慮した、「作り過ぎず、付加価値を生む」養殖を目指し、福山大学の有瀧教授が持たれるテッポウギスの効率的な養殖技術を商流化する為の事業を立ち上げました。テッポウギスに限らず、イカ・タコ等の不漁が続く魚種の検討も進めながら、資源に向き合った漁業の在り方を追求したいと考えております。

 

また、消費者理解を高める為の取り組みとして、「魚食活動」の中に、エシカル消費やつかう責任のわかりやすい理解を促すテーマを盛り込み、発信する準備を行っております。

一足飛びには行かずとも、気付いた時点で先ずは行動を恐れず行う、この姿勢を大切に、1年実直に取り組んで参ります。

会社名: 株式会社クラハシ
会社HP: https://www.kurahashi.co.jp/