INTERVIEW

サラヤ株式会社

私たちの暮らしの中で馴染みのあるサラヤさんのハンドソープや台所洗剤など、これらの商品は「社会問題をビジネスで解決する」をまさに体現しているようなもの。時代ごとの問題に真摯に向き合い、挑戦し続けるストーリーが込められています。買い物は投票で、「エいきょうを シっかり カんがえル」。そうすることで、私たち一人ひとりが解決の一部になれます。

サラヤ株式会社は、「衛生」「環境」「健康」3つのキーワードに関連した製品やサービスを提供しています。みなさんには、手肌と地球にやさしい台所洗剤『ヤシノミ洗剤』や、カロリー・糖質ゼロの自然派甘味料『ラカントS』などで知っていただいているかもしれませんが、実はサラヤは “手洗い”で創業した会社です。

約70年前、創業当時の日本は衛生状態がとても悪く、赤痢などの伝染病が流行していました。そこでサラヤは、伝染病を治すことよりも“予防”することに着目し、手洗いと同時に殺菌・消毒のできる日本初の薬用石けん液と、それを衛生的に供給する容器を開発しました。ただ、製品を作るだけでは衛生状態は改善しません。そこで手を洗うことを習慣するために、標語を用いた啓発活動もあわせて行いました。

サラヤは創業時から「社会問題をビジネスで解決する」ことを目指しており、時代の流れによってその問題は変化しています。

高度経済成長期の1970年代は、安価で大量生産ができる石油原料の合成洗剤が主流でした。しかし、石油系洗剤の排水は非常に分解されにくく、全国の河川などで汚染を引き起こしました。そこでサラヤは、業界に先駆けて環境への負担が少ない、ヤシの油を原料とする『ヤシノミ洗剤』を1971年より販売。また、近年関心が高まっているプラスチックごみ問題に対しても、1982年には食器用洗剤で初めて詰替えパックを発売しました。

また、最近ではライフスタイルの多様化により、購入する製品の背景を知ることを重要視する方も増えています。製品の性能だけでなく、原料調達から生産、消費までを追跡するトレーサビリティの確保が求められています。

サラヤは持続可能な原料調達についてもいち早く取り組んでいます。例えば、『ヤシノミ洗剤』やハンドソープなどの原料の1つであるパーム油は、使い勝手や生産効率の良さから世界で最も生産されている植物油で、約85%が食用として消費されています。

その需要に対応するため、主要原産国であるインドネシアやマレーシアでは、熱帯雨林を伐採してアブラヤシ(パーム油の原料となる植物)農園を拡大。洪水被害や野生生物の減少など、さまざまな環境・社会問題を引き起こしているのです。

この問題は単にパーム油の使用を止めるだけでは、根本的な解決とはなりません。そこでサラヤはパーム油と関わり、この問題に対して解決策を提示し、野生生物や森を守りながら生産者や消費者の生活も維持していくことにしました。

そこで、環境・社会に配慮したパーム油の生産を推進する国際NPO「RSPO」に日本に籍を置く企業として初めて加盟し、2010年より環境と人権に配慮したパーム油の認証制度である「RSPO認証」パーム油を使用した製品の販売をいち早く開始しました。現在では、すべての自社製品(国内販売)においてRSPO認証を100%取得しています。

さらに、サラヤのRSPO認証の一部は、マレーシア国内の小規模農家のRSPO認証を推進する支援活動を通じて取得しており、この支援活動に参加している小規模農家は1,000を超えています。

環境保全の取り組みとしては、2004年よりマレーシア・ボルネオ島で、かつて熱帯雨林だった農地を買い戻し、分断された森をつないで「緑の回廊」を回復させるプロジェクトなどが進行中です。

これら問題は、サラヤ単独で解決できるものではありません。問題に取り組む組織とのパートナーシップを結んでいくことや、製品を買っていただくみなさんとの協力、つまりはエシカル消費を実践していただくことも重要であると考えています。

エシカル消費の実践方法として、サラヤの一般向け製品ブランドは、売上の一部がそのブランドに関連する問題解決に活用される、「コーズ・リレーテッド・マーケティング」を取り入れています。

今後も安全で安心な製品開発を通じて、さらにエシカル消費を後押しするとともに、みなさんに持続可能な消費を選択していただくための、未来を見据えた先進的な取り組みを続けていきたいと思います。

会社名:サラヤ株式会社
会社HP:https://www.saraya.com/