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【エシカル・コンシェルジュ名鑑】

#5 旅をしながら『人生図鑑』を作る大学生

\ 高橋あすかさん /

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「エシカル・コンシェルジュ名鑑」では、日本全国・世界各国にいるエシカル・コンシェルジュを紹介します。講座を受講したきっかけや、職種、興味のある分野は人によって様々です。どんな仲間がいるのか、どんな活動をしているのかぜひ参考にしてください。

第5回目は、10期修了生の高橋あすかさんです。高校卒業後、日本と南米を旅していた高橋さん。帰国後は『人生図鑑』を作るために、大学でグラフィックデザインを学んでいます。旅から直接得たリアルな学びや、今後の目標についてお伺いしました。

::Profile ::

高橋あすか
旅暮らしの大学生。高校卒業後ギャップイヤーを取り、日本各地で環境問題に取り組む人々を訪ね、南米ガラパゴス諸島で動物保護のボランティアを経験。現在は、京都の大学でグラフィックデザインを学ぶ傍ら、様々な分野の学びに触れるべく、国内外あちこちを旅している。将来は、“情報やメッセージを分かりやすく伝える”デザインの力を使い、環境・社会課題に向き合いたいと考えている。
>note

思い出のエシカル】
日本旅の最中、沖縄のビーチでごみ拾いをしていると、とても可愛いカラフルな糸を発見。「これは何かに生かさねば! 」と、すかさず拾い、滞在先の宿で居合わせたおじいに手伝ってもらいながら糸の絡まりを解きました。その糸で編んだミサンガは、とても綺麗な色に仕上がり、お気に入りです。

:: Profile ::

高橋あすか

旅暮らしの大学生。高校卒業後ギャップイヤーを取り、日本各地で環境問題に取り組む人々を訪ね、南米ガラパゴス諸島で動物保護のボランティアを経験。現在は、京都の大学でグラフィックデザインを学ぶ傍ら、様々な分野の学びに触れるべく、国内外あちこちを旅している。将来は、“情報やメッセージを分かりやすく伝える”デザインの力を使い、環境・社会課題に向き合いたいと考えている。

>note

【思い出のエシカル】
日本旅の最中、沖縄のビーチでごみ拾いをしていると、とても可愛いカラフルな糸を発見。「これは何かに生かさねば! 」と、すかさず拾い、滞在先の宿で居合わせたおじいに手伝ってもらいながら糸の絡まりを解きました。その糸で編んだミサンガは、とても綺麗な色に仕上がり、お気に入りです。

ビーチクリーンで拾った時の絡まった糸

拾った糸で編んだミサンガ

環境問題に興味を持ったきっかけ

私は、田舎で生まれ育ち、小さい頃から自然の中で遊ぶことが大好きでした。環境問題に興味を持ち始めたのは、小学生の誕生日に買ってもらった『地球環境図鑑』がきっかけです。今、地球にどんな問題がどんな仕組みで起きているのか、分かりやすく図で描かれているので、面白くて何度も読み返しました。

もう一つの大きなきっかけは、小学生の時に保護した猫が車にはねられて死んでしまったことです。この出来事から命の重さについてとても考えさせられます。

その後、児童書『動物と話せる少女リリアーネ』や、動物と話せるお医者さん『ドリトル先生』を読んで、例えば人間の生活する場を広げる目的で森が破壊され、そこで生活する動物が生きられなくなってしまうと知りました。

この地球上には人間の勝手な行動によって、傷つけられ命を奪われる動物がたくさんいます。それを私は許したくないと思い、将来は人間に苦しめられている生き物たちを救えるようなことがしたいと考えるようになりました。

エシカル・コンシェルジュ講座を受講したきっかけ


エシカル・コンシェルジュ講座を知ったのは、高校卒業後に旅をする中で、講座を受講した方たちに出会ったことがきっかけです。高校生の時にドラマを見て、貧困やLGBTQなどの社会問題にも興味を持ち始めていたので、環境問題と社会問題のどちらも学べる講座内容に魅力を感じました。

私には簡単に支払える受講料ではなかったので少し迷いましたが、一番興味のある生き物以外にも多くの分野について学べたので受講してとても良かったです。それまでは旅中に出会った人との対話から、自分で考えて調べて学ぶことがベースだったので、講座では様々な講師の方から体系的にしっかり学ぶことができました。

一番印象に残った講座とその理由


一番印象に残った講座は、藤田早苗さんの「世界から見た日本のヒューマンライツ」の回です。「声なき人の声に光を当てる」というメッセージがとても印象に残っています。

私の生まれ育った環境ではホームレスやLGBTQの方に出会うことがなかったのですが、旅中にホームレスの方に出会ったり、貧困を目の当たりにしたりする機会がたくさんありました。

その経験から、日本の社会システムについてちょうど考えていたタイミングだったので、専門的な知識を持つ藤田さんからお話が聞けて、自分の考えを整理できたことがとても大きな収穫でした。

 講座を受講前と受講後の気持ちや行動の変化


エシカルにまつわる様々な課題は密接に関わっていて、一つを解決しても新たな問題が生まれたり、他の問題も同時に解決しないと進まなかったりすることが多いと思います。

受講前は、その課題に対して自分には何ができるか考えを巡らせてモヤモヤしていましたが、講座全体を通して「問題に向き合い続ける力」が必要だと感じ、受講後は考えがクリアになりました。

私には小学生の頃から「地球上全ての生き物を助けたい」という夢がありますが、たまに「簡単ではないし、実現できないのではないか……」と思ってしまうことがあります。でも、考えること自体を諦めてしまっては、もっと問題が増えていくだけなので、学び続けることを大事にしたいと思いました。

高校卒業後、日本を旅していた1年間


私は、高校3年生の夏休みにプラスチックごみ問題の可視化を目標に「美ら海プロジェクト」を始めます。最終的に日本全国47都道府県の70名以上の方からプラごみを送ってもらい、日本地図を作りました。

美ら海プロジェクトのプラごみで完成した日本地図


そして、この活動がメディアに紹介されたことで、浜松にあるプラスチックリサイクルの会社が活動をサポートしてくれることになり、高校卒業後はサポートを受けながら日本を旅していました。旅の目的は環境問題に関する取り組みをしている人々を訪ねたり、大量のごみが流れ着く浜辺を自分の目で見たり、自身の体験を通して学ぶことです。

地元の埼玉から陸路で南下して、最終的に沖縄本島や離島を訪れました。初めは「自分には何ができるか」を模索していましたが、旅を終えて感じたのは「環境問題に対する取り組み方は人によって様々」ということです。

旅をする中で、毎日ごみ拾いをする人や海洋ごみでアクセサリーを作る人、市役所の環境推進課で働く人など、色々な人に出会いました。活動が趣味や生活の一部になっている人もいれば、興味はあまりないけれど仕事だからやっている人など、環境保全に対しての思いは人それぞれです。色々な人がいて、色々なやり方があって良いのだと、この旅を通して思えました。

旅中のビーチクリーン&アクセサリー作成ワークショップで出会った方たちと

ずっと行きたかった生き物の楽園「ガラパゴス諸島」


約1年の旅を終えた頃、今後も環境問題について学び続けたいという思いと同時に、人類学や社会学など新たな分野にも興味が出てきたため、会社からのサポートを外れて旅することを決意します。

そしてまず決めた行き先は、小さい頃からずっと行きたかった南米エクアドル領の「ガラパゴス諸島」です。色々な厳しい手続きを経て入島すると私を待ち受けていたのはたくさんの野生動物でした。

空港に着いてすぐに、目の前をノソノソと黄色いリクイグアナが歩いていたり、タクシーで滞在先に向かっていると、ゾウガメが道路の茂みから出てきたり、ペリカンやアシカがその辺にゴロゴロとお昼寝していたり、ビックリする光景をたくさん目の当たりにしました。

ガラパゴス諸島ではこれが日常で、当たり前の光景です。野生動物は人間に対して警戒心がなく、距離が本当に近くて共存していると感じました。

空港で発見したガラパゴスリクイグアナ

ビーチに寝そべるアシカ


でも、その反面、本土から番犬として連れてこられた犬が野犬化してしまう現状があることに驚きました。私は滞在中、野良犬の保護施設で少しお手伝いをしていましたが、その施設には放し飼いにされて脱走したり、避妊の手術をしていないので子犬が産まれてしまい飼えなかったり、虐待された犬がやってきます。

人と野生動物が共存する地として知られるガラパゴス諸島でも、人間の勝手な都合で傷つけられてしまう動物たちがいることに衝撃を受けました。また命について考えさせられる印象的な経験でした。

保護施設の犬たちと

『人生図鑑』を作りたい!


約2年の旅が一区切りし、今一番やりたいことは『人生図鑑』を作ることです。旅中に、大阪で出会った70代くらいのおじいさんにお金を盗まれた経験から色々な考えを巡らせ、「生き方」や「人生」にすごく興味を持つようになりました。

現在、京都芸術大学で「グラフィックデザイン」を学んでいるのも、人生図鑑を作ることが第一の目的です。情報やメッセージをどうやったら分かりやすく色々な人に伝えられるかに興味があり、旅をしながら京都と東京のキャンパスを行き来しています。

人生図鑑は、私が世界各国を旅しながら、色々なバックグラウンドを持つ人や、様々な環境で生きてきた人を取材する予定です。一人ひとりの人生を見開き1ページに文章やイラスト、図、グラフなど色々な素材を使って表現したいと思っています。

文:大信田千尋(一般社団法人 エシカル協会)
2023/11/29

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